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スイス・旅の便利帳
 スイスに関しては各種旅行ガイドや関連書籍が充実しているので、ここでは一切基本的なことには触れず、どちらかというとオタクっぽく、よりみみっちく掘り下げた情報を提供していこうと思う。スイス旅行は初めて、という方は、書店で1冊ガイドブックを購入した上で、スイス政府観光局のホームページをご覧になるようお勧めする。

注:料金に関することはレートの変動などに影響されるので、必ず事前にご確認を。

 
地形図を手に入れたら、次はこれだ!

 ベルナーオーバーラントのような有名リゾート地ならともかく、今回紹介するような地味なところでハイキングをしようという方なら、事前にまず地図(地形図)を手に入れていただきたい。スイス国土地理院発行の1:25,000、あるいは1:50,000地形図は、日本国内でも大都市の大型書店の地図コーナーや地図専門店ですぐに手に入る。また、スイス現地であれば書店や地図専門店だけでなく、土産物屋や駅のキオスクにも置いてある。

 地図を買ったら、大変便利な「地図記号ガイド」もぜひ手に入れよう。特に欲しいのは、写真入りで地図記号の意味を解説しているタイプのもの(右写真参照)。これがあれば、地図解読がずっと簡単になる。スイス国内の、国土地理院地形図を扱う主な書店などで、無料で貰うことができる。例えばチューリヒならバーンホフ通りの「バルト書店」、ベルンなら「シュタウファッハ書店」など。店頭になければ、お店の人に一声かければ出してもらえる(何と言ったらいいかわからなかったら、右の写真をプリントして見せれば大丈夫)。ただし観光シーズンは早々に品切れになってしまうのが残念。

 スイス国土地理院発行の地形図は1990年代に、地形レリーフの書き直しなどを含む大改訂をしている。スイス国内で売られていた旧版の地図は、新版が出た際に回収されているが、日本で売られているものの中には未だに古い版が紛れ込んでいることもあるので注意。登山道や標高などの情報が、新版と旧版ではかなり変わっている地域もある。2つの版は表紙などのデザインが違っているので一目でわかる。
(新版は表紙の色がグラデーションになっている)

なお、興味のある方へ・・・
スイス国土地理院見学記(1997年)
      

 スイス国土地理院の地図がオンラインで見られるサイト、
SWISSGEOも便利。フランス語版とドイツ語版のみ。普通に見るだけなら無料だが、有料会員になると、地図上で山歩きの情報などを取りだせるなど、いろいろな特典がついてくる。

これが写真入り地図記号ガイド。英語版・ドイツ語版・フランス語版などがあるので、都合の良いものを選ぼう。
     

内容はこんなふう。とにかくわかりやすい!

おスイス おスイス
現地交通費を安くあげる
 スイス国内だけめぐる旅をする人がまず最初に考えるのは、スイスの主要鉄道、および郵便バスなどが乗り放題になる「スイスパス」の利用だ。

 だが実はこれ、滞在する地域や旅のパターンによってはあまりトクにならない。スイスパス以外にも、1ヶ月間のうち、任意の数日間だけ乗り放題になるフレキシーパスや、1ヶ所滞在型の人向けのレギオナルパス、さらに1ヶ月半額カード、1〜3年有効の半額カードなど、おトクな切符はいろいろあるので、あなた向けのものを探して利用するのが賢いやり方。

 交通費の概算には、スイス国鉄(SBB)のホームページを利用しよう。ここの列車時刻検索では、国際列車を含む列車と主なバス・船の乗り継ぎのほか、出発地から目的地までの料金を知ることができる。料金を検索するときは、1等・2等の区別とともに、片道か往復か確認することを忘れずに。また、料金計算の結果には同じクラスに2通りの金額が表示され、一瞬とまどうかもしれないが、1/2とある方は半額割引カード保有者用の料金だ。

 このサービスを使ってはじき出された交通費を見てから、同じくスイス国鉄のホームページで、一番合った割引プランを探すとよい。

 スイス・トラベルシステムのパス類は、チューリヒ空港やチューリヒ中央駅、バーゼルスイス国鉄駅、ベルン駅など主要駅なら予約なしでその場で購入できる。ローカル駅でも注文してから1〜3日で購入・受け取りが可能。なお、購入時にはパスポートが必要。即購入可能な駅など詳細はスイス国鉄HPで。
(これらのパス類はインターネットで購入して事前に日本に送ってもらったり、スイスの最寄り駅を指定し受け取ることもできる。ただし、予約後には未使用券でも内容変更ができないなど、デメリットがあるので注意)

 言葉にある程度不自由しない人なら、現地の駅窓口でどんな割引システムが得か相談するのもよい。多少時間がかかるが、あなたの予定に必要な交通費を細かく計算して、一番いいプランを示してくれる。行き先の事情なども教えてくれるし、非常に親切。スイス国内のみならず、数か国周遊する場合のおトクなプランも教えてもらえる。


筆者のおすすめ
やっぱりスイスパス:
毎回切符を購入する手間と時間を省ける上、思い立ったときにすぐに乗り物が利用できるスイスパスはやっぱりおすすめ。行き先や経路の変更も自由自在なので、行動範囲がグッと広がる。

慣れた人には1ヶ月半額カード:
値段は99スイスフラン、スイス国内主要駅で購入できる。切符を窓口で買うときにこれを提示すれば、購入する切符が50%割引になる。自動販売機で切符を買うなら、1/2というボタンを押せばOK。あとは車内検札のときに、車掌さんに半額カードと切符を同時に提示する。
国鉄、私鉄、市電やバスなど、ほとんど全ての交通機関に割引が適用される。しかもスイスパスではせいぜい20〜30%くらいしか引かない登山列車やロープウェイなどもばっちり半額。元はすぐに取れ、金額的には一番おトクになる可能性が高い。
ただしスイスは日本と違い、切符の購入に結構な時間と手間がかかる。自動販売機も決してわかりやすい作りではないので、どちらかというと慣れた人に向いているかも。
ちょくちょくスイスに通う人なら、年間半額カードの選択も考えてみよう。単に半額になるだけでなく、追加料金を支払って一定期間乗り放題になったり、スイス以外でも割引が受けられたりと、結構使い道がある。

さらに…
 イタリアなど他のヨーロッパ諸国の鉄道キップもスイス国内で購入できる。たとえばスイスパスを持っている人がチューリヒからフランクフルトに鉄道で移動する場合、国境のバーゼル駅で途中下車してドイツ国鉄の分のキップを買い直さねばならない……なんて面倒な事はしなくていい。近隣諸国と共通の鉄道パス類もあるので、旅程によってはそちらの利用も検討しよう(ユーレイルパスよりずっと安上がりになる場合がある)

さらに(その2)…
 実業之日本社から出版されている旅行ガイド『わがまま歩き・スイス』には、鉄道・バスで観光する人向けに主要駅間の所要時間を詳しく記したガイドマップが載っている。思いつきでいくつかの観光地をハシゴする時など、時間の見通しが立ってすごく便利。コピーを取って鉄道パス類と一緒に挟み込んでおこう。
注:この本の最新刊の印刷後に、スイスではン十年ぶりクラスの大規模なダイヤ改正があり、区間によっては所要時間がガイドマップよりずいぶん短くなっている(2005年)

さらに(その3)…
 スイスパス、スイスフレキシーパスなどいわゆるスイス・トラベルシステムの切符を提示することで、スイス国内の各種施設の利用料金が割引になる。
 中でも使えそうなのが、ホテルでの料金割引特典。ベスト・ウエスタンチェーンなど、比較的日本人によく使われる多くのホテルで、10〜15%程度と結構な額の割引が受けられる。特典を使うには事前予約の際に告げるなど、ホテルによって条件があるようなので、詳しくはスイス国鉄HPでご確認を。

安くなるのは交通費だけじゃない!
スイスパス ほか スイストラベルシステムのチケット
使いみちいろいろ:

 スイスパスなど『スイストラベルシステム』のチケットが使えるのは、交通機関だけではない。スイス国内の美術館・博物館やテーマパークなどの多くで、料金が割引になったり、時には入場無料になることがある。入場券購入の際は、忘れずにパスを提示するようにしよう。
 他にも、ホテルでも割引料金を適用する所があるなど、『スイストラベルシステム』の使い途はまだまだ数多い。
詳しいことは、これまたスイス国鉄ホームページでご確認を。

スイスパス、写真は15日間用のもの。赤いのがケースで、有効区間の概略図がついている。昔は日本の定期券大でキップには山の細密画が入り、すてきなデザインだったが、1990年代半ばごろから横長の体裁になり、キップのデザインも面白みに欠けるものになった。これはヨーロッパ共通の発券システムなのだろうか、用紙が他のヨーロッパ諸国と同じになった

      

スイス国内であれば、スイスパスだけでICEやTGV、CISなどにも乗れて「鉄」も大満足。追加料金は不要。ブリーク駅にて
おスイス
チップについて
 海外旅行で日本人を悩ませるものの一つがチップのようで、旅行ガイドにも「チップについて」という項目が必ず割いてある。しかし、はっきり言ってチップが登場するシチュエーションというのは、その人の旅のスタイルによって全く異なってくるので、それを一概にどうのこうのと説くのはナンセンスというか、無粋の極みだろう。

 ……と、タテマエを書き立てた所でやっぱりう〜む、と言うわけで、とりあえず筆者が見聞きしたスイスでのチップ関連のエピソード(あくまでもエピソード)と、実用編としてカジュアルなレストランでのチップの渡し方をまとめたコーナーを設けてみた。興味のある方はぜひどうぞ。

スイスの雑記帳/風物・社会「チップ」

おスイス
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全天候対応型スイス
 スイス旅行前に何が一番不安かといえば、やはりお天気だ。

 以前、酒飲み話に「ハワイで雨、スイスで雨、どちらが最悪か」という話題が出た。ハワイはどうか知らないが、筆者に言わせれば、スイスで雨、というのはそれほど悲惨なことではない。なぜなら……

1:アルプスの南北で天気が違う
 日本の気候と同じである。山脈を挟んでこちらと向こうで、天気が違うことはよくある。そのため、スイスの天気予報の一番簡単なバージョンは、「アルプスの北」「アルプスの南」という地域分けだ。
 また、ちょっとした峠を挟んだだけでも天気が変わる。たとえば、サンモリッツで雨でも、ベルニナ峠を越えたら快晴だった、などということもあった。
 標高の違いも天気に影響する。グリンデルワルトで雨でも、目の前斜め上のユングフラウヨッホは快晴、などというのはよくある話で、たいていのガイドブックでもそのことには触れていると思う(もちろんそうでない時もある)。
 スイス国営放送(SF)では毎朝7時前後から、スイス各地のライブ画像をその地の天気予報と一緒に流している。雨が降っているような日はそれをチェックしてから行き先を決めるとよい。ホテルでインターネットが使えるなら、スイス各地のライブカメラリンク Topin というのもある。

2:街が面白い
 今日はスイスじゅう100%雨、という日でも大丈夫。スイスの街はとても面白い。
 永世中立国・スイスでは、多くの街が戦災に遭うことなく、中世からそのままの姿を保ち続けている。こう言ってはなんだが、ドイツのロマンチック街道よりもはるかにロマンチックだ。
 また、美術館に行けば、「あっ!この絵はこんなところにあったのか」というような名画がいっぱい。博物館も、相当にオタク的なところのあるスイス人の性格を反映し(?)、凝りに凝った面白い展示品や企画が満載だ。
 買い物にしても、大きな街ならブランド狙いから珍品発掘趣味の人まで、いろいろなニーズを満たしてくれる。そして、雨の日の買い物に便利なのはだんぜんベルンだ。街中の歩道が「ラウベン」というアーケード状の張り出しに覆われていて、傘をささずに歩くことができる。

3:移動が便利
 よく発達した交通網のおかげで、山奥からでも意外なほど早くあちこちへ移動できる。たとえばグリンデルワルトからベルンまで、乗り継ぎ時間込みで約2時間。夏であれば日没が21時くらいなので、午後からでもゆっくり観光ができる。(こんなときはやっぱりスイスパスだ)
 ついでだが、スイスの商店は朝が早いかわりに閉店もかなり早い。しかし、毎週木曜日に大きな街や観光地では「フェアカウフアーベント(ショッピングの夕べ)」と言って、夜20時〜20時30分くらいまで店を開けている。雨でなくてもこの機会はぜひ利用したい。

同じ日でも、アルプスの上と下、北と南ではこんなに天気が違う。
どちらの写真も1993年7月11日、左はウーリ州アンデルマット、右はティチーノ州ルガーノ。両者の間は電車で2時間かからない

     

夏のアルプスの観天望気。
上空の飛行機雲がすぐにかき消されるようだったら明日は晴れ。反対に飛行機雲がなかなか消えず、どんどん空にシュプールが増えていくような時は天気は下り坂で、翌日の好天はあまり望めない。写真のような時は要注意
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服装と気候・冬の巻

 冬にスイスに行くのであれば、服装に関して特に悩むことはない。日本でしているような冬の格好をする、それだけの話である。しかもガンガンに効いた暖房が室内の洗濯物をよく乾かしてくれるので、替えの靴下・下着類は3組もあれば充分だ。はっきり言ってスイスの場合、冬の方が夏よりも荷物が軽くて済む。

 まず、山岳地に行く場合は、日本でスキーに行くのと全く同じような格好をすればよい。

 一方、都市部であれば日中の気温が-5度を割り込むようなことは滅多になく、大体0度〜プラス2度とかそんなものだ。日本のように寒風がビュービュー吹き荒むようなこともあまりなく、思ったよりもずっと暖かいという実感を持つだろう。室内の暖房は日本よりかなりきついので、薄くて脱ぎ着がしやすいものを1〜2枚着た上に、外出用の長めのコートというのが無難な取り合わせだ。

 体感温度というのは個人差があるので一概に言えないが、いわゆる冷え性の筆者の実感では、スイスは個人宅やホテルにしろ、また列車内などの公共空間にしろ、どこもよく暖房が効いており、「手足が冷えて石のよう」ということは滅多にない。これがどんなに楽かということは、同じ冷え性の人ならよく理解できるだろう。

 気をつけたいのは履き物。都市・田舎を問わず、靴はすべり止めがついた暖かいブーツがベスト。別にロングブーツでなくても、足首まで覆えば大丈夫。保温も大切だが、滑りにくいという点をより重視。スイスの冬の路面はシャーベット、もしくはツルツルが基本と思っていい。

 靴はスイスに着いた当日か翌日、現地の靴屋で選ぶというのも良い手だ。日本よりもずっとおしゃれで良いものが安く買える(都市でモコモコのスノーブーツなんて履いたらイモよ)。降雪の多い所に行く場合は、道路に撒かれる融雪剤でソールや皮が痛んでしまうので、あまり高価な靴は履かないほうがいい。

関連:> 旅の季節・冬
   
> スイスの雑記帳・旅のよもやま「実践!冬の服装」

冬のスイス、キーワードは「思ったよりも寒くない」。
ヨーロッパ人の感覚では、晴天率が高い冬のスイスアルプスは避寒の地である。風があまり吹かないので、スキーなどでちょっと動き回ると暑いくらい。天気のいい日は着込みすぎに注意
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服装と気候・夏の巻

 実は、夏は冬よりややこしい。あれこれ取り揃えているうちに、冬よりも荷物が大きくなってしまうくらいだ。

 チューリヒやベルンのある中央平野部(ミッテルラント)の夏は、寒暖の差が非常に激しい。天気が悪かったりするような寒い日は最高気温15度くらい。一方天気がよければ、午後にはあっという間に30度を越してしまう。そんなわけで、両方に対応できるような服装を準備しなければいけない。

 そんな中で意外に重宝するのは、長袖のサマーニットだ。木綿などの自然素材がベストだろう。高温多湿の日本の夏にはあまり向かないこのサマーニット、スイスに限らず、湿度の低い大陸ヨーロッパ中部〜北部の夏の旅には一番便利。寒い日にはシャツやブラウスの上に着れば温かいし、暑い日は直接肌の上に着ると、編み目を通り抜ける風が非常にさわやかに感じる。筆者は2週間くらいの旅の場合、これを厚手・薄手と2〜3枚持って行くことが多いが、丸めてもシワにもならず重宝なものだ。

 山岳地に行く場合の服装も、ちょっと注意が必要。ユングフラウヨッホのような高所はもちろんだが、標高1500m以上の山村(サンモリッツなど)は、夏でもまともに雪に見舞われることがある。トレッキングをする人だったらゴアテックスの上着くらいは持っているだろうから、あまり心配はないかもしれないが、観光だけの目的の人も、11〜12月頃に着るような感じの上着を必ず1枚は持とう。

 ところで、スイスヘビーリピーターを自認する筆者も毎回意外に悩むのが、替えの靴下・下着類の量。天気が良くて暑い年の場合、その日着たものは夜9時くらいまでに洗濯して部屋に干しておけば、たいていのものは翌朝にはパリパリに乾いてしまう。移動日分を考えても、3セットもあれば完全にローテーションが効くだろう。しかし悪天候の日が続けば当然そうはいかないから、ついつい念のため……と思って余計な荷物を増やしてしまう羽目に。やれやれ。

関連:> 旅の季節・夏
    

ついでに:
 1990年代、ヨーロッパ人が袖なしの派手なタンクトップにショートパンツという姿でトレッキングをするのを見て、格好いいと思った筆者。さっそく真似をしてみたところ、一発でひどいカゼをひいてしまった。
 後日この事を世間話に持ちだしてみたら、同じような失敗をした日本人が相当数いた。欧州の夏は日本と同じくらいの気温でも湿度が低いので 、 体表面からの水分の蒸発が盛んになり、それで気づかないうちに体を冷やしてしまうようだ。
 ちなみにヨーロッパ人たちは先祖代々こんな気候に対応してきたせいか、日本人より若干体温が高い(試しに誰かと握手してみよう)。

夏・冬ともサングラスも絶対必需品。家族でユングフラウヨッホのような所に行くときは、お子さんの分も忘れずに。ルガーノにて

   

    

    

見るからにアクティブなこのスタイル、さっそく真似てみたら低体温の日本人はカゼをひいた。エンガディン(スルレイ峠)にて
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日焼け対策!

 楽しい夏のスイスアルプスハイキング。ここで誰もが一番心配するのが、日焼け対策。

 日本だって高原の紫外線が強烈なのに代わりはないが、スイスの場合、日本よりも湿度が低いため、日焼けした肌は情けないくらいボロボロに荒れ果てる。ちなみにスイスには「シワとり日焼け止め」という、ミもフタもないような効能の日焼け止め化粧品もある。

 さて、普段日焼け対策に怠りない女性のみなさんが案外忘れがちなのが、髪の毛の分け目の部分の日焼け対策。帽子をかぶらない、あるいは白っぽい色や薄い素材の帽子をかぶる場合、髪の分け目の「あぜみち」部分にも、日焼け止めを塗った方が絶対いい。頭皮がひどい日焼けになると、2〜3日後には皮が剥けはじめ、場所が場所だけに見た目も大変ばっちい状態になってしまう。

 また、耳も日焼け止めを塗り忘れやすい部分のひとつ。ここが脱皮するようになった時の痛さと言ったら、首や腕の比ではない。ちなみに耳の日焼け対策は「オトコが日焼け止めなんか塗ってたまるか」という男性諸氏にも絶対おすすめする。

 ところで、日焼け対策と言うのはどこまですれば良いものだろうか。

 日本女性は日焼けを恐れる傾向が年々強くなっているようだ。最近では、気温30度を越える暑熱の中でも長袖・首にマフラー、挙げ句の果てに手袋まで着用、つば広の帽子を目深にかぶり、その下にサングラスというのが、一般的中年日本女性のハイキングスタイルになりつつある。はっきり言ってこれはやり過ぎではないか?山中はもとより、町中で出くわすこのスタイルの集団はかなり異様だ。また、帽子とサングラスを同時に着用するのは、常識と言う点でも問題がある。特に店などに入る時は、どちらかを外すべきだろう(店側としてはフルフェイスのバイク用ヘルメットをした人が入って来るのと同じで、かなりドキッとする)。

 では、日焼け対策はどうしたら良いかって?
 実は、紫外線予防効果の高い日焼け止めクリームをていねいに塗るだけで、日焼けは充分予防できる。心配だったら、体の無難な部位で一度実験してからにするといい。焼けないコツはこまめに日焼け止めクリームを塗り直すこと(これ常識)。日焼け止めの類は使い方の上手下手で効果が大きく変わるので、使用前にもう一度、手持ちの日焼け止めの正しい使い方を確認すると良いだろう。

 さてさて、スイスへ行ったら現地の店で気に入ったTシャツでも買い、開放的な服装で楽しくバカンスを過ごそう!

注意:特別に肌の弱い人や、肌に傷あるいは傷の跡のある人は、日焼け止め化粧品ではなく、服装で紫外線を防いだ方がもちろんいい。
    
    

ついでに:
日本で一般的な日傘スタイルは、ヨーロッパでは20世紀前半に絶滅したファッションとみなされている。意図的にエキゾチズムを演出したいとき以外は使用しないほうが無難。すごく目立つ……
(スイスの世間話ではニッポン謎の風俗として、日傘・白手袋・マスクがしばしば話題になるんである)

年輩日本人女性の典型的なハイキングスタイル。この日、麓の村では気温30度を越えていた。日本の低山の夏に較べれば、暑さはずっとにマシとはいえ、こうなると熱射病が心配になってくる

     

こちらは同年輩のドイツ人の開放的なハイキングスタイル。別にこの格好を褒めるわけではない。このスタイル、これはこれでまた、日本人にとって大きな問題をはらんでいるのであった……

詳しくは気候と服装・夏の巻

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ホテル予約について

 日本人の場合、外国語は話すほうには自信がないが、読み書きならなんとか・・・という方が多いと思う。そんな方のホテル予約にインターネットは非常に便利だ。ことにこの数年の間に、たいていのホテルや民宿がオンライン予約できるようになってしまった。

 ホテルが独自のホームページを持っていなくても、多くはその町のツーリストインフォメーションページから予約できる。スイスホテル協会のホームページでは、加盟全ホテルのオンライン予約は取り扱いをやめてしまい、ホテルガイドとしての利用が中心になってしまったが、一部ではまだオンライン予約を扱っている。

 ホテルに予約申し込みを送信すると、早ければ数時間、だいたい2〜3日で返事(予約確認書)が来る。あらかじめクレジットカード番号を入力して保証を取るタイプの予約サイトなら、たいていはこれで予約完了。

 しかし、この段階までカード番号を相手に知らせないタイプの予約フォーマット、あるいはEメールやFAXで予約する場合は要注意。そのような場合、現段階でのホテルからの返事はあくまでも「ご案内」であることがほとんど。どんな事が書いてあるかというと……

「この度は私どものホテルにご関心をお持ちいただきありがとうございます。先日貴方さまよりお尋ねのあった200X年○月○日〜○日、風呂つきツインルーム1室に関して、私どもでは1晩○○Sfr.にて予約を承ることが可能です。大変静かで、専用バルコニーのついた明るいお部屋でございます云々。なお、予約の確定にはもう一度貴方さまよりの御連絡が必要となります。なるべくお早めのお返事をお待ち申し上げております。」

 つまり大抵の場合、予約の成立にはここでもう一度返信が必要なのである。「……可能です」のあたりまで読んで予約ができたものと早合点しないよう御注意を!

 この返信の段階でクレジットカード番号の通知を要求される場合もあるし、結局最後まで要求されない場合もある。前者の場合、データが暗号化されないEメールソフトを使ってカード番号を送信するのは不安。向こうからのメールをプリントアウトし、そこにカード番号など指定の事項を記入してFAXするか、電話を使って連絡するのが無難だろう。「到着時間が遅くなる」「最寄り駅まで送迎をしてほしい」などの細かいことも、その時に伝えると良い。

 ところで、最近はいろいろなホテル予約サイトが登場していて、選択肢も非常に増えた。しかし、スイスほかヨーロッパのホテルを予約するときに、日本の企業が運営している予約サイトの中には要注意の所も。格安をうたっていても、実は外国企業運営のサイトよりかなり高額な料金設定になっている所が多いのだ。同じホテルでも扱う部屋のタイプが違う……たとえば日本人が好きなフロおけの有無など……というのは可能性としてあるが、中級程度のホテルのツインで1泊3,000〜5,000円も差がつくなんていうのはザラで、こうなるとさすがに考えものである。中間マージン大国日本恐ろしや。

 英語や外国語を読むのが面倒だなどと思わず、名前の知れた大手サイトだけでもいくつか比較して研究した方がいい。また、日本語ページを開設する海外系の予約サイトも増えた。

その他、ホテル予約関連ページ:
旅のFAQ「ホテル探しについて」

ホテル予約文例ドイツ語版(特別危険物指定)

おまけ:
 純然たる徒歩旅行なんかの場合、あらかじめ宿を予約できないときもある。そんなときに使うのが「ツインマーフライ」Zimmerfrei 。これに関しては多くのガイドブックに出ているので詳しい説明は省くが、安いし気楽だし、非常によいものだ。
ただひとつ気をつけねばならないのが、お湯の使い方。ボイラーの貯湯量が小さい家が多いので、日本式に盛大にシャワーを使うと、あっという間にお湯を使い果たしてしまい、その後数時間にわたって台所や洗面台の湯まで使えなくなってしまう。これをやったら家の主婦に大目玉を食らうこと間違いなし(←やったのは筆者ではない)

星なし・家族経営小規模ホテルの部屋の一例。右の青い物体はカーテンで、これで居室とベッドルームを仕切るセパレート式になっていた。
スイスの山村の場合、リーズナブルな小さいホテルも、有名高級ホテルと較べ全く見劣りしないサービスと部屋を提供することが多い。いろいろな人の旅行記なども参考に、時間があったら自分の気に入りそうなところを探してみよう。
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女性の一人旅と宿
スイスなどヨーロッパ旅行のいいところは、1人でも宿を取りやすいということだ。しかもデラックスホテルから山奥の民宿まで、選択肢も豊富。日本ではなんのかんの言っても一人旅の女性客が楽しく泊まれる宿はそう多くないが、これに関してはヨーロッパは天国である。

 さて、女性の一人旅で、宿の選び方として何を重要視すればいいかといえば、やはりセキュリティーの確保が最優先。では、どんな宿が安心な宿なのだろうか。ここで、某新聞社のベテラン女性記者が筆者に伝授してくれ、筆者も長年それに倣ってきた「安心な宿の選び方・ヨーロッパ編」を紹介しよう。

大都市の場合
・中央駅などターミナル駅の近所は避ける。特に市街中心部とは反対側の「裏玄関」サイドは風紀が悪いことが多いので要注意。また、夜間に人通りが途絶えるビジネス街のホテルも避けたほうが無難

・クラスを問わず、大規模ホテルの内部は意外に治安が悪いので、特にそこに泊まる必要のない場合は避けたほうがよい。もしも泊まる場合は、部屋に入る時に、後ろに誰かいないかよく確認すること(ドアを開けた瞬間、背後から一気に部屋に押し込まれるというパターンが多い)。貴重品の管理にも注意

・文教地区、あるいは普通の商店街のすぐそばにある、室数20くらいの小さな家族経営ホテルが理想的。ただし文教地区は夜間人通りが少ないことが多いので、夜に出歩きたい人は注意。文教地区と商業地区の交錯する地域はいろいろな点で理想的(たとえばドイツ・ミュンヘンのシュヴァービング)。また、中小の観光都市に限って言えば、旧市街中心部のホテルは高いが安心なところが多い

・大都市のユースホステルは内部の治安の悪いところが結構あるので、事前に情報を収集すること。また、ヨーロッパのユースには男女を相部屋にしてしまう所もあるが、一人旅の若い女性はそのようなユースは避けた方がいい。そのあたりの情報はネットや口コミで手に入るので、事前にチェックしておくとよいだろう。

田舎の場合
・治安に関しては都市部ほど心配しなくてもいいが、毎朝主人と顔を合わせられるような、小さなところがやはり安心。出かけるときには宿の主人か、信頼できる常勤の人に、「今日は○○に行ってくる」と告げておけば(特に山に行くのであれば!)万が一事故に遭ったときも捜索開始が早くなる

・スイスの田舎の場合、ユースホステルよりも民宿の方が安いことが往々にしてある。また、ユースより若干高いとしても、様々な制約がないので気楽。「民宿は英語が通じない」と書くガイドブックもあるが、現在のスイスでは、田舎でもその点ほとんど心配ない。

 そして、当たり前のことではあるが、旅行中に気に入った町があったら、次に来たときに泊まりたいような、良さそうなホテルをチェックおくといい
    

ついでに:
海外で日本人女性が一番遭いやすいトラブルは、実は日本人男性とのトラブルなのだそうだ……(当然男女逆もある)。確かに筆者の周囲にはその手の話題が充ち満ちている。以前、外務省の海外安全ホームページでも「海外旅行のトラブルで一番多いのは、残念ながら邦人同士のトラブルです」と言うようなくだりを読んだ記憶がある。ご参考までに

民宿の部屋の一例。12畳くらいの広さの部屋に、ベッド/写真のイス/大きい安楽イス/お湯の出る洗面台/タオルセットつきで朝食込み1泊32フランだった(トイレ/シャワーはもう1つある客室と共同)。クール近郊の住宅地で

その後、トイレ/シャワー完備の部屋が1泊35フランという民宿をヴァリスで発見。屋根裏だったが可愛い内装で、なかなか居心地が良かった。
探せば(そのときは別に探したわけじゃなかったが)結構あるものだ。

おスイス おスイス
これは便利!公衆メール
 スイスでも日本と同じように、携帯電話に押されて町中の公衆電話は減少傾向にある。だが、この公衆電話、多機能で大変便利なものもあるので、ぜひ使いこなそう。

 屋根がついているような場所にある公衆電話には、たいてい電話の脇に小さなモニタとキーボードが一体化した機械がついている。これが、電子電話帳やメールなど様々な機能を持っているのだ。利用方法は、モニタを見てあなたの使用言語(独仏伊英)を選択し、あとは表示されるガイドにしたがって操作するだけ。

 電子電話帳の利用は1件0.50フラン(以前はタダだったのだが…)。住所も表示されるので、電話帳としてだけでなく、お目当てのショップの場所を探したりするのにも使える。また、企業や商店、ホテルなどのE-mailアドレスも電話番号と同様に検索できる(これがなかなか便利!)。ちなみに目当ての電話番号やメールアドレスが見つからなかったときは課金されない。

 E-mailも1回0.50フラン。使える文字数に制限があるが、ホテルに到着遅延のメッセージを送るなど、ちょっとした用を足すのにとても便利。

 ところで、スイスの公衆電話で日本への国際電話をかけるときは、現金あるいはスイスコム(SWISSCOM、要するにスイスのNTT)のテレフォンカード「TAXCARD タックスカード」を利用するのが絶対得!スイスの国際電話料金は昔からとても安いのだ。

 カードは日本のテレフォンカードと違って使用期限があり、それも1〜2年程度と短いので、5〜10フランくらいの低額のカードを買うといい。1〜2週間の旅行なら、それで充分もつだろう(5フラン、10フラン、20フランのカードがある)。カードの購入は駅や町中のキオスクなどで「タックスカード、○○フランをお願い」と言って買う。使用後はもちろんスーベニールに。  

これがメール&電話帳端末。
写真は2001年10月。実はこのとき、飛行機のリコンファームが必要だったのだが、いつ電話してもオフィスに全然電話がつながらない。前月の9.11米同時多発テロ直後にスイス航空が倒産してしまったおかげで「確実に飛ぶ」便は奪い合いになっていた。これはまずいというわけでメール登場、目的は無事達成された。ブリーク駅にて(mk)
おスイス おスイス
スイスドイツ語(スイス弁)
 ドイツ語をちょっとだけ大学でかじったという人も、ゲーテ・インスティテュートできっちり修めたという人も、スイスに来るとたちまち腰が抜ける。スイスのドイツ語は、いわゆる標準ドイツ語とは、東京弁と津軽弁くらいの距離があるか、それ以上だ。文法まで同一ではない。

 相手が外国人と見れば、スイス人は一応標準ドイツ語で対応してくれるが、あの引きずっては飛び跳ねるような、独特の発音に慣れるには、ちょっと時間がかかる。更に困ったことに、スイスでしか使われない単語も相当数あるのだが、スイス人はそのへんを全く意識しないで会話に混ぜる。英語やフランス語から来た単語なら理解できるが、それ以外はお手上げ。しかも、日常生活にかかわるような単語ほどスイス語率(?)が高い。

 実はこのスイスドイツ語、ドイツ人にも理解しがたいものらしい。筆者の手許にある『みんなのスイスドイツ語・豆辞典』というブックレットのあとがきには、「ドイツの皆さんへ。これ一冊でスイスの食堂でメニューを前に悩むことがなくなります」とある。

 筆者は以前、旅行者向けスイス弁ミニ辞典を作ろうと試行錯誤した時期があったが、結局断念してしまった。やっぱり言葉について云々するには、文化や習慣などに対する理解もう〜んと必要なのである。そのかわりに、旅のドイツ語とスイス弁というコーナーを設けたので、興味のある方はぜひどうぞ。たった10単語でコミュニケーションをはかろうというご愛嬌のページだが、その効力は筆者の家族や友人たちによって人体実験(?)済みである。
  

ついでに:
「ドイツの皆さん」ならずとも、外国語で書かれた
メニューの解読は難しい。そもそも料理と言うのは、材料と調理法を説明されても、現物を見ないかぎりいまいちピンとこないものだ。食べたいものをピンポイントで注文したいなら、現地で写真入りの料理レシピブックを買い、それをサンプル代りにしてしまうのも方法のひとつ。現地語ができない人でも、スーベニール向けに英語で書かれた、小さくて可愛いのがいろいろ出版されているので、その中から選ぶと便利。
日本人に興味を持って話しかけてくる子供もいる。彼らは思いっきりスイス弁で来るので、なかなか大変だが、時には、トーマス・マンの「ドクトル・ファウストゥス」でネポムクが話すような、古ドイツ語の名残の荘重な言い回しを聞くことができる。学校では10歳まで方言で授業をし、それからは標準ドイツ語を使うようになる。
クール駅にて
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