英語:
★超おすすめ★
Ticking along with the Swiss (Dianne Dick, Bergli Books AG)
スイス在住の外国人たちによる、スイスに関するエッセイ集。好評のため数冊の続編があるが、圧倒的に面白いのは最初に出版されたこのタイトル。ちなみにこれの "Swiss A to Z " で爆笑できれば、あなたは完璧なスイスヘビーリピーターだ。
独語(英語・仏語・伊語版があるものも):
GEOGRAPHIE IN DER SCHWEIZ(『スイスの地理』Berner Lehrmittel-und Medienverlag)
10代の子供向けのスイス地理の教科書(副読本)。地理という学科を通して、過去から現在・未来のスイスの姿と、自分自身のくらしを浮き彫りにし、「社会=世界の中のわたくし」をうまく把握させるような構成になっている。豊富に使われたイラスト図版は写真より雄弁で、非常にユニーク。非常に大きくて重いハードカバーの本だが、私もこんな本で勉強したかった。学校の先生、特に中学・高校の地理の先生必見。ドイツ語ができない方でも、おおむね内容が理解できるというところが、これまた考えさせられる。
SAC Clubfuehrer(『スイス山岳会アルプス登攀ガイド』筆者・タイトルは地方別。SAC)
説明不要。登らなくとも持っているだけで嬉しい。
Karten Lesen (『地図を読む』Martin Gurtner、SAC)
これもスイス山岳会の本。タイトル通り地図読解の入門書。スイス国土地理院の地形図作成に関するページには、コンピュータ化以前の地図製版の解説なども出ており、この業界の人間にとっては涙ちょちょ切れもの(1995年版。最近の版には出ていないかも)。
Schweizerdeutsch fuer alle (『みんなのスイス弁』Urs Doerig、Kuemmly+Frey)
スイス弁ミニ辞典にスイス弁文法、州別典型的話法にスイス小話までついた愉快な本。ただし、有名な地図製作会社だったこの本の出版元は、よりによって不動産投資に失敗して2002年に倒産した。この本が今も手に入るかどうかわからない。
★超おすすめ★
Aus Schweizer kuechen (『スイスの台所から』Marianne Kartenbach、Graefe und Unzer Verlag Gmbh)
全スイスの伝統料理を集めたスイス料理大辞典。新年から始まり大みそかで終わる歳時記的な構成になっており、古い銅版画などから集めてきた挿し絵も秀逸。この本のレシピ通りに作ったエンガディーナトルテや梨パンは、スイスで食べたものと100%同じ味がする。余談だが、この本のもともとの出版元は、赤い表紙の地図で知られたHallwagという地図製作会社だった。だが、こちらも1990年代後半に経営拡張の失敗などが原因で倒産している。同業者としてはひじょーーーに情けない。(業界内情報;Kuemmly+FreyとHallwagの地図部門は、ドイツの地図出版会社に買収された)
★超おすすめ★
Anna Goeldin Letzte Hexe (『アンナ・ゲルディン、最後の魔女』Eveline Hasler著、ペーパーバックはdtv)
今度は小説。18世紀末のスイス・グラールスで開かれた、ヨーロッパ最後の魔女裁判。被告の名はアンナ。これまでの社会構造が根底から揺るぎ始める時代、ぶつかり合う価値観の波の表面に押しだされてしまった彼女の一生をたどる。筆者超おすすめ。(東京都立図書館の図書検索によれば、日本語訳あり)
Die Wachsfluegelfrau (『蝋の翼の女』うーん日本語直訳にするとサマにならないタイトル。作者、出版社とも上と同じ)
こちらはおすすめ度中くらい。ドイツ語文化圏初の女性法律家、エミリー・シュピーリ(ヨハンナ・シュピーリの姪)の物語。タイトルが内容の全てを物語っている。
Die Schwarzen Brueder (『黒い兄弟』Lisa Tetzner、Sauerlaender)
19世紀のスイス・ティチーノ地方の山村の少年が、貧困のどん底に陥った家を助けるため、少年煙突掃除夫としてミラノに売られて行く。そこでは…という物語。少年版『ハイジ』はシビアなのである。厚さに少々ひるむが、青少年向けの本なので物語の展開が早く、文章も平易。とにかく面白いのでドイツ語生かじり系の人でも絶対に最後まで読める。(福武書店から日本語版が出ていたが、現在入手不能)
ところで、この『黒い兄弟』といい、有名な『ウルスリのすず』といい、ドイツ語圏の児童文学は、妙に諦念漂うニッポンの児童文学と違ってなんとも痛快。
★超おすすめ★
Ich, Adeline, Landhebamme (『私・アデリーヌ、郷里の助産婦』Adeline Favre、Robohlt Taschenbuch)
1930年代から出身地のヴァリス州アニヴィエ谷とシエールを中心に助産婦を続けてきたアデリーヌ・ファーヴルさんの自伝。地域で唯一の助産婦だった駆け出しの頃から、不安な第2次世界大戦前後、そして8000人以上の赤ちゃんを取り上げるまでに至った生涯の思い出を綴っている。スイス山村の生活の変遷、様々な人びととの出会い、そしてお産の技術の進歩がやさしい語り口で物語られ、読み物としても面白い。原著はフランス語(Moi, Adeline, accoucheuse/Cabedita社)
ちなみにハイジの黒パンのページで昔のスイスのパンの話をしてくれた女性は、生まれた時このファーヴルさんに取り上げてもらったそうだ。そんなわけでこの本を紹介してもらった。
★超おすすめ★
Adolf (『アドルフに告ぐ(第1巻〜)』Osamu Tezuka、Carlsen)
ドイツ語学習者の方には特におすすめ。言わずと知れた手塚治の名作劇画のドイツ語訳。第2巻以降も順次発売。
シュタウファッハのMangaコーナーの店員さんによれば、(2005年末の段階で)入荷してもすぐになくなる超売れ筋本とのことで、筆者も取り寄せをお願いすることに。
「Mangaファンじゃなくても、これは良い本だよ。おすすめだね」
※この本はドイツやオーストリアで買ったほうがずっと安い。そちらでの購入がおすすめ
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