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旅の季節・夏
(6〜8月)

利点--------
・なんと言っても山に行くには最高の季節。はじめてスイスに行くのならやっぱり夏が一番
    
・高緯度のため日照時間が長い。5〜7月いっぱいの間は午後9時ころまで明るく、1日をめいっぱい楽しめる
    
・高山植物の種類が最も多く見られる
    
・博物館や美術館の開館日や開館時間が増える
    
・各種イベントが多い
    
・鉄道などの交通機関は便数が増えて利用しやすい
      

欠点--------
・飛行機代が高いうえに、週末の便などは予約が取りにくい
    
・ホテル代もおおむね高い
    
・日照時間が長いので夜遅くまであちこち出歩き、疲労が蓄積して体調を崩しやすい
    
・どこに行っても混雑する。ロープウェーなど場所によっては半日くらい待つところも
    
・コンサートなどの文化的な催し物のうち、定期的なものはほとんど休みに入ってしまう
    


参考:気候と服装・夏の巻
   スイスの日の出・日の入り

 梅雨というわけではないのだが、6月から7月のはじめにかけて、スイスでも比較的雨の日が多くなる。来る日も来る日も終日降りっぱなしということはあまりないが、山の観光地ではこの雨が雪になることも結構ある。

 天気にはちょっとムラがあるが、6月は案外スイス旅行にいい季節ではないかと思う(飛行機も安い)。この時期は高い山にまだ沢山雪が残っているのに、アルプや里はもう夏の様子になるので、いかにもスイスらしいみずみずしい風景が楽しめ、標高1000〜1500mくらいのアルプのお花畑は、6月後半にはもう最盛期を迎えてしまう。また、平野部では至る所でリンデン(菩提樹)の花の香りが漂い、夏の高緯度地方独特の長い長い夕暮れの時間に、一種独特の雰囲気をかもし出す。そう、ロマンチックな旅を演出したいなら、断然6月に限る!

 地方都市などでちょっとしたお祭りが多いのもこの時期。わざわざ遠出して見に行くほどでもない規模のものがほとんどだが、偶然そんな場面に出会ったりすると結構嬉しいものだ。

 やがて6月が終わりに近づくと、スイスの特産品のひとつ、サクランボが町じゅうに出回るようになってくる。大粒でみずみずしいものが日本よりずっと安く買えるので、ハイキングの友には持ってこいだ。他にもラズベリーなどのキイチゴ類やモモ、日本のものよりずっと甘いアンズなど、果物の種類が増えて、いよいよ本格的な夏の到来を感じる。

 洋服などの夏物セールがはじまるのも6月末頃からで、これは絶対見逃せない。以前は夏物セールは7月に入ってから始まったものだが、最近どんどん前倒しになる傾向にある(なんと!セールの開始日は政府が決めている)。セールは7月後半くらいまで続くが、ありがたいことに日本人が着られるような小さめの服や靴は、割合遅くまで売れ残りやすい。

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 7月に入るとだいたい第1週目の週末から、スイスの学校の夏休みが始まる。10年くらい前までは町中の商店などもこの時期になると休みに入るところが多く、旅行者はお目当ての店に入れずにガッカリというような事もあったが、最近は完全休業する店はあまり見なくなった。そう言えば最近は昼に閉めてしまう店もめっきり減り、便利と言えば便利だが、ヨーロッパらしい鷹揚なところがどんどん消えていくようで、ちょっとつまらない感じがしないでもない。

 スイスの夏休みが始まる頃から天気も安定しはじめ、平野部では日中の気温が30℃くらいまで上がるようになる。スイスも最近は「異常気象」つづきだが、そうでなくても本来スイスの夏はかなり暑い。晴れた日中の町歩きは日本の夏の服装プラス薄手のカーディガンで全く問題ないだろう(湿度が低いので、日陰に入ると結構スースーする。何か羽織るものは必要)。

 ただしどんなに日中暑くても夜はかなり冷え込む上、一旦天気が崩れるとたちまち気温は20℃を割り込み、ましてや標高1500mを越えるところでは7月に雪が降ることもたまにある。持っていく服は真夏から真冬までいろいろな気候に対応できるよう、ちょっと工夫しなければいけない。

 天候が安定すると、標高2000m以上の高山の花も盛りをむかえ、いよいよ山岳観光シーズン本番だ。電車なども急に混雑するようになって、山も湖もひときわ賑やかさを増す。日本の観光地のような物凄い雑踏になる所はツェルマットくらいだが、他所でもロープウェーなど輸送力の小さい乗り物は、あちこちでかなり待たされることを覚悟しよう。
(それにしても夏のツェルマットの混雑は本当に凄い。東京の朝の通勤ラッシュを彷佛とさせる感じで、筆者としては絶対夏には行きたくない)

 この時期から8月いっぱいくらいの間に有名な観光地やリゾートに行くときは、できれば半月くらい前までにホテルの予約をしておいた方がいいだろう。特に数人連れの場合、融通の利くレンタカー旅ならあまり問題ないが、電車利用で夕方遅く着いてから宿泊先を探そうとするとかなり苦労するかもしれない。当日宿探しをしたくない人は、日本にいるうちにスイスホテル協会のホームページでも通じて、ホテルを押さえてしまうといいだろう。また、行きたい村の公式ホームページを見れば、ホテル協会に加盟していないような民宿などの情報も得られる。協会に加盟していないから心配、ということは特にないので、宿やスタッフの写真でも参考に、興味のある所には気軽に問い合わせをしてみるといい。

 7月の後半くらいから、各地で音楽祭などのイベントが次々にスタートする。お目当てのものがあったら、日本にいるうちに早めにインターネットで調べておこう。特に大きなイベントになると、スイス国内からより海外からのほうがチケットが押さえやすいそうだ。また、8月1日の建国記念日のような大きな祝祭のほか、この時期はあちこちでちょっとしたパレードなどが開催される。お祭り好きの人、人間観察好きの人にとってもなかなか面白い時期である。

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 年にもよるが、8月に入ると徐々に涼しくなりはじめ、通常は10日を過ぎると平野部でも気温30℃を越える日はあまりない。日本よりは季節の移り変わりが早いようだ。特にお花畑ハイキングがお目当てなら、8月ではちょっともう遅いかな、という感じがする。

 サマータイムのせいもあって、8月も相変わらず遅くまで日が暮れないが、それでも日照時間はこの頃からどんどん短くなる。この時期に10日ほど滞在すると、帰る頃にはスイスに到着した時よりも15分も日の入りの時間が早くなり、ちょっと奇妙な感覚すら覚えるだろう。

 やがて、食料品店の店先や市場にスイスの国民的果物(?)ツワチカことプルーンが並び始めると、夏も終わり。季節はゆっくりと秋に向かい始める。

 

なんのかんの言っても、やっぱり夏のスイス。咲き乱れる高山植物に縁取られた道をハイキングするのは、みんなの夢。
チナール、ソルボアにて

      

赤ちゃんだってハイキング。夏のうちにたっぷり外の空気にふれ、長い冬に備える。ところで、スイスの山に不可欠のウシは、なぜか赤ちゃんが好き。赤ちゃんがいると、かならず覗きにやって来る(ような気がする)。
グリンデルワルトにて

      

自転車は1、2の人気を争うスポーツ。夏の間スイスじゅうのいたる所で峠越えレースが開かれる。年によってはツール・ド・フランスのコースがスイス国内を通ることも。
サン・ベルナルディーノにて

     

「涸沢ヒュッテのおでんとビール」で1日をパアにしてしまうタイプの人にはスイスの山はかなり危険?? いえいえ、それこそ個人旅行の醍醐味。
レ・ゾデールの奥、Ferpecle谷にて

     

お祭りが好きなら、8月1日のスイス建国記念日は一見の価値があるかも。レストランのメニューもこの日は特別。
シュピーツにて

     

今度は一転、現実的なお話。
登山に危険がつきまとうのは日本もスイスも同じ。近年は日本の中高年登山者がスイスで事故を起こすケースも時折ある。安全な登山の原則を守り、日本で出版されているガイドブック類によく目を通して、自分の実力に合ったコースを選ぶようにしたい。

参考になるホームページ:
めざせ!! スイス百名山 by ルートルさん

      

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