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ミグロ!
 リピーターだけでなく、はじめてスイスに行く人も必ずお世話になるのが、スーパーマーケットチェーンの Coop コープと MIGROS ミグロ/ミグロス。コープは説明するまでもなく「生協」、ミグロの方はというと民間企業だが、これもまた前身は生協だったのである
(そのへんの詳しい経緯を知りたい方は『ミグロの冒険』A. A. ヘスラー著、岩波書店 をどうぞ)

 ミグロといえば、現地のスイス人にとっても割合いいイメージで受け止められているスーパーだが、実は以前は結構ひどい商品が多かったらしい。こんなジョークを聞かされたことがある。

「犬がソーセージをくわえていたんで、指さして"ミグロ!"と言ったら離した」

 しかし、現在のミグロは「安い、品質が良い、環境にやさしい」と、特に食品と家庭用品に関する評価はすっかりポジティブなものになっている。

コープとミグロ、賢い主婦の使い分け
 大都市の近郊住宅地や、地方の小さな町に行くと、ミグロとコープは仲良く2つ並んで建っていることが多い。スイスの奥様がたは、どうやってこの2つのスーパーを使い分けているのだろうか。そこで、40代の専業主婦、Mariqueさんの場合を見てみよう。

 ミグロもコープも週に1回、タブロイド版の「生活新聞」のようなものを発行している。料理レシピ、家事のノウハウや有名人インタビューなど、想像通りの奥様記事(失礼。だってこのへん全く日本と変わらなくて)に満ち満ちた新聞だ。この中に、日本のスーパーの折り込みチラシのような感じの、「今週の安売り(Action アクツィオーン)」ページがある。Mariqueさんはまずここをチェック!安売り商品のラインナップはなかなか良く出来ており、それだけで1週間の献立がうまく組み立てられるようになっている(ような気がする)。

 それからいよいよMariqueさんは行動を開始する。どこで何を買うか、しっかり頭に叩き込んで、街へ出発。夕方に買い物をする日本の主婦と違い、スイスの主婦はおおむね午前中のかなり早い時間に買い物を済ませるので、早く行かないとパンなどはなくなってしまうのだ。

 ところで、ミグロとコープの「今週の安売り商品」と価格は、なぜか双方とも大体共通していることが多い。これでは全く意味がないではないか、と思うのだが、それがそうでもないらしい。例えば、Mariqueさんの買い物パターンを見てみよう。

ミグロで買うもの
・乳製品
特にチーズとヨーグルトは、圧倒的にミグロの方がよいそうだ

・魚
これは店舗によるかもしれないとのこと。ベルンの街中にある大きなミグロの魚売り場はピカいちだとか

・下ごしらえの済んだ半製品の総菜類
これもまた、どちらかといえばミグロの方がいいという

・ビオ(Bio 自然食品)の商品
これはミグロを有名にしたシリーズ(旧名称SANO)。ミグロの環境問題への積極的な取り組み姿勢とセットで、日本でも一時期ニュース番組や雑誌でよく取り上げられていた。野菜や肉などの未加工食品から、インスタント食品やお菓子までいろいろある

・パン
近くのパン屋で買えなかった時は、ミグロで買う

・オリジナル商品の菓子類
中でもビオのビスケットは絶対おいしいという。筆者も同感

・グルーミング用品、化粧品の一部

●コープで買うもの
・農産乾物(コメ、料理用雑穀、乾しキノコなど)

・ハム・ソーセージ類
先ほどの犬の話ではないが…。特にベーコンは絶対コープの方がいいという

・衣料品

……とまあ、ざっとこんな感じらしい。あとはその時々やモノによって、適当にどちらかで買うそうだ。

ミグロでおみやげ
 チューリヒやベルンの街にある大きなミグロでは、ビクトリノクスの十徳ナイフだの、観光地の写真入りのミニチョコだの、いわゆるおみやげの定番を安く手に入れることができる。だが、それではちょっとつまらない。ここでは筆者が今までに買ってよかったと思ったモノをいくつか紹介しよう(食べ物が多いのは、御愛嬌ということで)

・台所用品
パイカッターやパスタつかみなど、小型でデザインのかわいいものは友人へのプレゼントにも。有名ブランド品と比較しても見劣りしない、しっかりしたものが多い。筆者は10年以上前、当時日本ではまだ珍しかった小型の圧力鍋を100Sfr.くらい(確か当時のレートで9000円程度)で買ったが、今も大変重宝している。ミグロに限ったことではないが、圧力鍋のような道具類には、ネジやスプリングのような超小型の部品にまですべてに商品コードがつけられており、破損や紛失の際すぐに取り寄せてもらえる。

・ビオ(Bio)シリーズなど、オリジナル商品のビスケット
日本に帰ってから、スイスを懐かしみつつボリボリ食べる。スイス人の好みを反映して、日本のビスケットよりもかなり堅めのものが多いので、人へのおみやげにするときは注意

・料理材料
とは言っても、ナマモノは買えないので、レトルトパック入りの半製品や料理ソースの素などをどうぞ。それほど重くない上かさばらず、人へのお土産としてもなかなかいい。筆者のおすすめはミックスきのこパック。これを使って作るブッシュ・ド・レーヌは100%こちらの味と香り。
 ところで、スイスの半製品の食品は、下ごしらえだけ済ませてあり、味付けは自分で出来るようになっているものが多い。日本の既製品もそうだと嬉しいんだけど。

・洋菓子材料
特に地方にお住まいの方、バニラビーンズだの、ビスケット用のスパイスだの、干し洋梨、ヘーゼルナッツ、まともなマジパン、etc. 普段近くでは手に入らないものも買い放題。しかも安い。

・モンブランようかん
 日本で言うところのモンブランケーキ、あれをスイスではバーミセリ vermicelli といい、名物のひとつになっているが、あの上に乗っているウネウネした栗のペーストがミグロで手に入る。甘さ控えめで栗の香りも強く、なかなか美味しい。ちょっと重いが、日持ちがするので、興味のある方は試してみてはいかがだろう。
追記:栗ペーストはコープの方がいいという意見が出て来た。実は筆者、コープのは試してみた事がないが、双方の得意分野から考えると、コープの方が美味しい可能性が高い……(2004年)

 この栗のペースト、あらかじめ例の形状に絞り出してパッケージしてあるタイプと、筆者が「モンブランようかん」と呼ぶ固形のものと2種類ある。前者の方が簡単に食べられるが、もしも話のタネにしたいなら「モンブランようかん」を買おう。これは原始的な水鉄砲のような形をした専用の筒(モンブランようかんとセットで売っている)に詰め、ちょうどトコロテンのように打ち出して使う。
 これが活躍するのは、クリスマスや誕生会などで人が集まったとき。みんなの前でアイスを皿に盛り、その上にちょちょいとこのモンブランようかんを絞れば、あっという間に簡単モンブランアイスケーキの出来上がり。場が盛り上がることも間違いない。
(ついでだが、その上に更に、泡立てず砂糖も入れない生クリームをスプーン2〜3杯ほどかけ回すのが、スイス家庭風の食べ方)

オレンジの看板が目印のミグロ。ミグロは店舗の規模により、MとMM、MMMの3種類に分別されている。Mの数が多いほうが大規模店。写真はベルン近郊の住宅地のMミグロ。

ヨーロッパの大型スーパーというと、最近日本への進出が目立つ、ホールセール型の外資系マーケットのようなものを想像する人もいるかもしれないが、ミグロはそういうタイプではない。
例えば、ディスプレイの方法。外国のスーパーというと単一商品がドーッと大量に整列する米国式のディスプレイを想像しがちだが、ミグロの場合、細かい品物がチョコマカとうるさく並ぶ様子は、ちょうど日本の「よく売れる駅前スーパー」みたいな感じである。
このコマコマぶりは、スイス婦人だけでなく、日本婦人の購買意欲もそそる。

紙切れにバネのようなものがくっついているのは、圧力鍋のピン。こんな細かい部品にも全部商品番号が明示されており(商品の説明書に出ている)紛失や破損の際には、それを言って取り寄せてもらう。
手前の緑色っぽいレトルト袋は、筆者おすすめのミックスきのこパック

ついでに
ミックスきのこパックを使ったレシピ


     

みんながおすすめ、ミグロのオリジナル商品のクッキー。中でもとりわけ、白地にペン書き風文字で商品名が書かれたシールのシリーズは大変イケる(写真参照)。チューリヒ空港のミグロにも数種類置かれているので、思い出したらぜひどうぞ。

ちなみにコープのクッキー類は美味しくないことで有名。そのせいかしばしば値引きをしているが……

    

物欲の果てに郵便登場。
航空便と、日本のSAL便に当たるEconomy便、2kg以内の荷物が大幅に割安になる小型包装物など、制度は日本とほぼ同じ。小包の郵便料金は日本よりおおむね安いが、書籍など重量物を送るときに、船便の制度がないのは痛い。
写真の黄色い箱は郵便局で買え、サイズも数種類ある。(これは1990年代のもの。最近はちょっとデザインが変わり、以前より丈夫になった)

興味のある方はこちらもどうぞ
おみやげは郵便小包で

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