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料理レシピ
Birnenbrot ビルネンブロット…梨のパン
たっぷりのフルーツとナッツで作るビルネンブロットは、自然の甘味とスパイスの香りが爽やかで、ティータイムのお供のほか、登山の携帯食にも最高!もともとはクリスマスや新年など、大きな行事の時に食べるものだったそうだ。
東スイス一帯の名物・ビルネンブロットは、洋梨をはじめ、いちじくやぶどうなどの干し果物とナッツ類を黒パンの生地に練り込んで作る、甘くてどっしり重いパンだ。地域により作り方にかなりバリエーションがあり、普通スイス国内でよく見かけるのは、干しフルーツとパン生地を練って作った「あんこ」にビスケット風の皮がついたもの。これはドイツなどでも広く作られており、「フリュヒテブロット Fruechtebrot」(フルーツブレッド)とも言う。このタイプのものは外観が可愛らしく、日本でも売っている店が多少あるようだ。
ここではちょっと珍しい、グラウビュンデン風の素朴なビルネンブロットを紹介しよう。見た目はかなり武骨だが、フルーツケーキ風にしっとりとした口当たりは日本人好み、作り方も簡単でトライしやすい。なお、ビルネンブロットは5日ほど寝かせてからでないと美味しく食べられないので注意。

材料(2個分):

干し洋梨 450g
干しいちじく 125g
干しぶどう 200g(これらのドライフルーツは、できればオイルコーティングしていないものを使う)
くるみ、ヘーゼルナッツなどのナッツ類 全部合わせて150g。好みで適当に混ぜる
オレンジピール 30g
梨パン用スパイス 15g(製菓材料店などでたまに扱っているレップクーヘン用スパイスで代用しても良い。自分で調合する場合はシナモン、クローブ、アニスのパウダーを好みで適当に合わせる)
キルシュ(または香りが良く強い焼酎)50cc
黒パンの生地 700〜750g
(焼く前の生のもの。ドイツ風の黒パンを焼いている店があったら、予約して分けてもらうと良い。黒パン生地が手に入らない場合は、油脂分の少ない、できれば多少でもライ麦粉や全粒粉を使った固めのパン生地が良いが、味はやはり劣る。)
黒パン生地を自分で作る場合はこちら

1. 洋梨、いちぢく、干しぶどうを半日ほど冷水に漬けて柔らかくもどし、ザルなどに上げて1時間ほど水気を切ったのち、細かく刻む。
2. そこに砕いたナッツ類と、適当に刻んだオレンジピールも合わせてよく捏ね混ぜる。全体が重たいペースト状になるまでなじんだら、ワイン、キルシュ、スパイスを入れて更にもうひと混ぜし、容器にラップなどでぴったりとフタをして一晩寝かせる

3. 一晩寝かせたフルーツミックスに黒パン生地を入れ、材料がムラなく混ざり合うまで力強く捏ねる。外観がハンバーグの種のようになったらOK。

フルーツミックスとパン生地。
混ぜ合わせる前はこんな感じ

    

4. 捏ね上がった生地は2等分し、たっぷりと粉を打った台の上で楕円形にまとめる。中に空気が入らないように注意。まとまった生地はクッキングペーパーを敷いた天板に載せ、堅く絞ったぬれふきんかラップで軽く覆い、30分ほど温かい場所で寝かせる。

生地を成形したところ。これではちょっと大きいと思ったら、3〜4等分して小さめに作っても良い。
写真は打ち粉が多すぎる。打ち粉が多いと保存があまり効かなくなるので要注意

    

5. あらかじめ200℃で予熱したオーブンに入れて45分程度焼く。
(パンを小さめに作った場合は、焼き時間35〜40分程度。あまり短くしないこと)

6. パンが焼き上がったら金網などの上で完全に冷まし、保存袋などに入れ、1週間ほど涼しい場所か、冷蔵庫のそれほど冷えない場所で寝かせる。いただくときは1〜1.5cmくらいの厚さに切ってどうぞ

焼き上がり。
味見は5日後のお楽しみ。
あーあ、やっぱり打ち粉が多すぎた

    

コツ:
・干し洋梨が手に入らないときは、干しいちぢくなど他の果物を同量分増やして代用する。オリジナルとは少し離れるが、干しプルーンや干しアンズを使ってみても美味しい(プルーンは生地がダレやすく、仕上がりが格好悪くなるのが難点だが……)
・捏ね上がった生地はかなりベトつくが、できるだけ打ち粉は控えること。焼き上がってからも打ち粉が白く残るようだと、後々そこからカビやすくなり、長期間の保存ができなくなる
・途中で表面が焦げるようだったら、上にアルミフォイルをふわっと乗せて焼けば大丈夫
焼きたてはぜんぜん美味しくない。かならず5日ほど寝かせてから食べよう!
しばらく保存することによって、フルーツの味と香りが全体によくなじみ、しっとりと柔らかい本来の口あたりになる。ちなみに冬場、冷蔵庫なら1ヶ月程度保存できるが、一番美味しいのは7〜10日目頃(スイスでは夏でも常温で保存するが、日本ではカビてしまうことが多いので冷蔵庫へ)。なお、このパンは冷蔵庫や部屋の匂いを吸収しやすいので、保存中は匂いの強いものの近くに置いたり、タバコの煙などに当てないように注意!
黒パン生地を自作する場合のレシピ

材料(約750g分):

あらかじめ活性化させてある自然酵母種(サワー種)330g こちらを参照。サワー種に限らず、自分の好きな自然酵母種があったらそれを使えばよい。活性化にはライ麦粉を使うこと
ライ麦粉 250g(中挽き〜粗挽きを適当に混ぜるとおいしい)
強力粉 50g(これもまた、粗びきの全粒粉を混ぜるとおいしい)
ドライイースト ティースプーン擦り切り1杯
 8g
ぬるま湯 110cc(粗挽き粉を多く配合したときは、少し控えめにする)
サラダ油 少々(くっつき止め)


1. ライ麦粉、強力粉とドライイーストを大きなボウルの中でよく混ぜ合わせる。

2. 塩をぬるま湯に良く溶かし、ボウルの小麦粉にパッパッと振りかけるように入れたら、手早く全体を混ぜ合わせて粉と水分をなじませる。そこに自然酵母種も入れてざっくり混ぜ合わせ、台の上など力の入る場所に取り出し、あとは全体がスベスベした感じになるまで力強く捏ね続ける(大体10分くらい)。普通の白パンよりかなり堅い生地なので、全身の力をこめて頑張ろう!

3. 生地が捏ね上がったら、生地よりひとまわり大きなボウルに軽くサラダ油を塗って、その中に適当に丸めた生地を入れ、ラップなどで密閉し、温かい場所で発酵させる。

4. 生地が2倍近くまでの大きさに発酵したら、できあがり(目安は1〜2時間)。
      

コツ:
・この生地は発酵しても白パンほどには大きくならない。多少発酵しすぎても大丈夫なので、よく熟成させよう。
・ドライイーストなしで、天然酵母だけでじっくり発酵させてももちろんOK。
・この生地をそのまま焼いて、単なる黒パンとして食べてもおいしい。4. の発酵が終わったら、生地を軽く捏ねてガス抜きし、もう一度楕円形、あるいは円形に丸め直して天板の上で30分ほど2次発酵させ、200℃のオーブンで45〜50分間ほど焼く。焦げるようだったら終盤で温度を180℃まで下げればよい。
この黒パンを薄くスライスして作った玉子サンドやカナッペは、おいしいぞ〜〜〜
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