花崎町中高年鉄道同好会の皆さんに捧げる
スイスのカジュアルなレストランでの食事
実践篇

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ここに掲載したやり方はごく庶民的な一例です。あくまでも参考として捉えて下さい。
 スイス以外のヨーロッパ諸国では、必ずしもここにある段取りで食事のテーブルが進むとは限りません。

1. カジュアルな店は入り口にメニューを掲示してあるので、食べたいものがある店かどうかチェックしましょう。観光地では写真つきメニューを出している店も多いので、言葉が苦手でも安心です。

また、表には現地語のメニューしか掲示していなくても、観光地にあるような店ならたいてい英語のメニューが置いてあります。語学が苦手でも、海外を個人旅行するような人なら、メニューをじ〜っと睨んでいれば、材料の一部と調理法くらいは見当がつくと思います。

(とか言っておきながら、想像もしないようなモノが出てきちゃったりするのが海外旅行の妙味です)
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2. 店に入ります。スイスの夏のリゾートでは、カジュアルな店だと案内なしで勝手に好きな席を取ってもよい店が多いので、周りを見て状況を判断しましょう。店員さんがいたら、目を合わせて軽く「ハロー」と声をかけるのをお忘れなく

店員さんが席に案内してくれる店では、必ず「お食事ですか?それともお飲み物ですか?」と尋ねてきます。言葉が苦手なら、ナイフとフォークを使う身振りを見せて「食事です」と意思表示しましょう。そうすれば、食事客用の景色のいい席に案内してくれるはずです。
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3. 席につき、店員さんが来たら、まず「とりあえずビール」式に飲み物を頼みましょう。これは必須です。ワイン、ビール、りんごジュース、ミネラルウォーターなどがおすすめです。注文を取りに来るタイミングにもよりますが、食べ物はその後で注文すればよいでしょう。

席にメニューがない場合は、同時に「メニューカードを下さい」と頼みましょう。単に「メニューを下さい」と言うと、「今日の定食」を頼んだことになってしまいます。
※あちらでは定食のことを「メニュー」と言うので

4. 飲み物を楽しみながらじっくりお品書きをにらみ、頼むものを決めます。

外国のレストランでメニューを判読するのは難しいものです。これは語学力というよりは、慣れの問題。日本国内の旅行でも経験があると思いますが、料理に関する言葉というのは、地域によってかなり違います。ガイドブックなどを頼りつつ、半分勘でやっちゃいましょう。

……さて、年輩の方だと、昔のテーブルマナー講座などでこんな事を教わった記憶があるかもしれません。
前菜→スープ→サラダ→魚→肉料理→デザートと
なるように組み合わせなければいけない」
しかし、胃袋の大きさが器量の大きさだった大昔の貴族ならさておき、今どきのテーブルはもっと簡単です。たとえば……
もりもり食べたいとき:3点セット
・スープ(あってもなくてもよいが、個人的にはおすすめ)
・サラダか前菜、あるいは両方
・メインになる温かい料理を1品
(もちろん2品頼んでもよい。チーズフォンデュやラクレットはメイン扱いでOK

軽く食べたいとき:2点セット
・サラダかスープ
・メイン

胃腸を休めたいとき:こんなのもあり
・スープ
・サラダ、あるいは野菜グラタンなど温野菜の料理
(菜食主義の流行で、こういう楚々とした頼み方は全然珍しくありません)

言葉がわからん!のとき:
・「今日の定食(メニュー)」
(たいていはスープ、サラダor前菜、メインの3点セットになっています。食前・食後の飲み物は別注文。女性の多い店や、カジュアルでも少々洒落た店では、デザートもセットに入っていることがあります。価格的にもかなりおトクな設定になっています)

……せいぜいこんな感じなんです。簡単でしょ?


ついでに:
・スイスでは、食事を頼めばパンは予め付いて来ます。別料金を払う必要はありません。

・パスタ料理(スパゲティの類)をメイン扱いにしてもOKです。これは助かる!ただしイタリア語圏で上等なお店の夕食時はいけません。

・「今日の定食」や添え物などに苦手なものがあったら、遠慮なくお店の人に「○○を××に変えて欲しい」と言いましょう。東京あたりのレストランはこういう変更を受け付けなかったり、注文を受けておきながら結局無視する所も結構あるのですが、筆者の経験では、スイスの店はきちんと注文に応じてくれます。

注目!飲み助のニッポンのおとーさん。アラカルトで注文した品をテーブルに並べ立て、順繰りにつまみながらお酒を飲むという、日本でおなじみの楽しみ方は、特にそうするよう頼んだ席でないと出来ません。通常は出てきたものを順番に平らげて行く、日本で言うコース式の進行になります。
(本当はこれを何式って言ったっけ?)
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夏の前菜の定番・トマトとモッツァレラチーズ盛り合わせ(カプレーゼ)。さっぱりしていて食べやすく、年輩の方にも大人気。

何人か連れ立っての食事だったら、前菜もメインも全員で違う品を取って、お互いにトレードして楽しみましょう。「苦手なものが来ちゃった〜!」の失敗も緩和できます。

5. 食事中、一品終わって皿を下げるたびに、店員さんが「いかがでしたか?」と尋ねます。
また、食事中には店のご主人や奥さんが各テーブルを回り、やはり「いかがですか?」「ご満足いただけていますか?」などと尋ねます。言葉でも身振りでも、楽しさ・美味しさを表現しましょう(楽しくなければそれなりに)。人によっては、ここで何か洒落たセリフを放ったりします。

この「ご機嫌伺い」は、高級レストランはもちろん、大衆食堂まで幅広く行われる楽しい習慣で、「ヨーロッパに来ちゃった〜」と感じる一瞬です。
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6. お食後に進みます。コーヒーや紅茶、デザートは、メインが済んでから、お腹の空き容量を見て頼めば良いでしょう。デザートのメニューは改めて持ってきてくれますが、カフェ兼業の店では自分でショーケースを見に行く事もあります。

デザートは店の実力がわかりやすい形で現れる、大変興味深いジャンルです。筆者もこれまで地獄から天国まで様々な体験をしてきました。カジュアルな店でも、地元で人気があるような所は洒落たデザートを出す事が多いようです。まずは周囲のテーブルをよく観察しておきましょう。

7. 楽しいお会計。支払い方法は日本の普通のレストランと大きく違います

食事がすべて終わったら、店員さんに「お会計をお願い」と言いましょう。すると店員さんが席にお勘定書きを持ってきてくれますので、着席のままテーブルで支払います。

スイスのレストランではチップは不要と言い切っているガイドブックもありますが、実はそんなことありません。店員さんがサービス満点の楽しい人だったら、やはりチップをはずみましょう。
ビミョーな時は、それなりに。
そのビミョーさ加減は以下の項をお読み下さい。

関連:
スイスの雑記帳:風物・社会「チップ」(実践講座つき)

アイゼンシュタイン氏の
日常生活シアター


8. 店を出るときは、お店の人に「ありがとう」、周囲のテーブルの人と目が合ったら「さようなら」「よい夜を」などと軽くあいさつ。楽しい食事は、良い思い出になったでしょう。

そのほかに……
スイスをはじめ、ヨーロッパではテーブルごとに担当の店員さんが決まっていて、注文でも支払いでもその人以外は受け付けてくれないという店がよくあります。……とは言っても、担当の人がなかなか来ないことも。時間がないような時は、近くにいる別の店員さんに声をかければちゃんと対応してくれますのでご安心を。

レストランと名がつく場所で食事をするなら、昼でも2時間はかかると思いましょう。夜は更にゆっくりです。日本のように一晩でひとつのテーブルを何回転もさせようとしないので、のんびりできますが、反対にさっさと済ませたい時は困りものです。ガイドブックの中には「メーヴェンピック」などのファミレスやカフェ、駅のビュフェなら早いと書いてある本もありますが、日本の感覚と較べれば、やっぱり相当時間がかかります。
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急ぐ場合や、疲れている日はきっぱりと割り切って、セルフサービスのカフェテリアやデリカテッセン(量り売りの惣菜屋)のテイクアウトをおすすめします。それでもマクドナルドよりはずっと芸がありますよ。

自分の部屋でテイクアウトの食事というのも気楽でいいものですが、気さくな小ホテルに泊っているような時だったら、頼めばプライベート用のテラスや庭を借りられるかもしれません。
(後片づけはきちんとね☆)

関連:
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モノを考える気力がないが、お腹はむやみにすいている、しかしチーズ・クリームっ気は勘弁、という日の定番「フィットネステラー」。鶏胸肉、あるいは脂肪を取り去った豚肉の塩焼きに、大盛り野菜を付け合わせたコンビメニュー。時には大量のハーブバターが恐怖を誘うが、これさえ除けちゃえば、肉に脂肪分がないので意外にあっさり食べられる。

日本ではあまり肉を食べないくせに、海外に来たとたん肉食人種に変貌する人多し。やっぱり旅は体力使います。

en Guete!
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