スイスの思い出の味、チャイブにパセリ |
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今までスイス料理にトライしてもいまひとつ上手くいかなかったという方、この香りをかいだ瞬間「これだ〜!」と思うのでは?
スイス料理には欠かせないのがこの2つのハーブ。特にクリームソースを使った料理には必ずと言っていいほど入っている。あまりにも日常的すぎて、スイスで出版されるスイス料理の本には、材料の中に書かれていないことも多い。スイス料理にトライする場合は、たいていこれを使うと思って用意しておくといいだろう。チャイブが入手できない時はあさつき(万能ねぎ)で代用すると、多少それらしい味になる。
このチャイブとパセリをたっぷり刻み(目安として、グラタン4人前だったら手のひら軽く1杯くらい)、ソースだったら火を止める直前、グラタンのような焼き物だったらオーブンに入れる前にざっと混ぜ込む。
クリームソースのほか、コンソメスープ、サラダ、焼き物などなど、この2つのハーブの組み合わせはスイス料理で多用される。日本人好みの香りで、間違って大量に投入しても嫌な味になる心配がない。安心してじゃんじゃん使おう。
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写真は春に吹き出すチャイブの新芽。日本の高山植物「シロウマアサツキ」の仲間で、見た目は花も含めてほぼ同じ。
日本でもそのへんのホームセンターなどで種が入手できる。簡単に栽培できるので、パセリやシソと一緒に生やして常備しておくと重宝。多年草だが、冬には地上部は完全に枯れるので、秋口にでも大量に収穫し、刻んで冷凍しておくとまあまあ使える。
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ベルンの住人マダムG式・一番簡単なサラダドレッシング
材料:
チャイブとパセリをたっぷり、にんにく少々(なくてもいい)、コショウ、塩、ワインビネガー(もしくはレモン汁や酸味のきつい酢)、オリーブオイル、フタつきのガラスの空き瓶
作り方:
チャイブ、パセリ、にんにくをみじん切りにし、空き瓶に入れる。そこに残りの材料も適宜入れ、しっかりフタをしてシャカシャカ振れば出来上がり。半日以上寝かせるとなお美味しい。冷蔵庫で1週間は保つ。
※味に物足りなさを感じる人は、少々の酒(日本酒でいい)にブイヨンの素を入れてさっと煮切ったものを足して作るとよい。また、自分の好きなハーブやスパイス、あるいはマヨネーズ、粒マスタード、醤油などといろいろ加えてみると面白い。 |
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クリームソースとにんにくの関係 |
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日本の感覚だとちょっと意外に感じるかもしれないが、クリームを使う料理ににんにくを使うことも多い。これは料理の最初に油で炒め、香りを出して使う。仕上げに使うチャイブとパセリとの相性もいい。 |
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おふくろの味も程度の問題?ナツメグ |
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こちらはチーズフォンデュ、ラクレットなどチーズ料理に不可欠。チーズを乗せて焼いたグラタンなどにも使う。たいていはコショウと併用する。
スイス料理と言えばナツメグに直結すると言っても過言でない定番スパイスだが、意外にもスイス人は「チーズとナツメグ」の組み合わせが大嫌いという人が多い。生まれたときから毎日のようにこの臭いを嗅がされ続けた結果、嫌気がさしてしまうそうな。 |
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豆料理にオレガノ、またはサマーセボリー |
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トマト料理に不可欠のオレガノは肉料理にも多用される。そして豆料理にも欠かせない。スイスではオレガノのかわりに、庭に雑草のように生えるサマーセボリーの生葉を使うことも多いようだ。オレガノは乾燥しないと香りが出ないので、確かに摘んですぐ使えるセボリーは便利。
いずれも肉料理なら下ごしらえのときに肉にまぶしたり、漬け込みソースに混ぜる。豆料理は、最初に豆を水煮するときにひとつまみ/ひと枝入れて一緒にゆで、豆に香りを移す(写真)。レンズ豆のスープ、ひよこ豆のサラダなど、これを入れると一気にスイス味に変身。
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★ ★ ★
他にバジルなどもよく使われるが、あとは家庭やお店、そして料理によりけり。ディルやセージなんかになると、日本の感覚と同じでちょっとスペシャルという風になる。
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スイスのお土産にミックスハーブの種 |
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スイスのお土産に、どこのスーパーや園芸店でも売ってる「ハーブミックスの種」がおすすめ。筆者が愛用する緑の小袋 "Fatter" のハーブミックス種の場合、中身はイタリアンパセリ、スープセルリー、バジル、マジョラム、サマーセボリー、チャイブ、チャービル、ディル、コリアンダー、セージ、ボリジなどと多彩。
日本とスイスでは気候が違うので、本州以南だったら春と秋の2回に分けて蒔くのが楽しめるコツ。春蒔きは主にシソ科のファミリーが、秋蒔きはセリ科が良く育つ。
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面倒でも、種をある程度種類別にえり分けると後々の成育が良い。日本の気候だとスイスで育てるより草丈にバラつきが大きく、「負け組」が出てしまうのだ。用土には強めに石灰を施す。バジル以外は水やりは控えめに。表土が乾いてからたっぷりやるようにすれば充分。常に土が湿っているようだと立ち枯れが頻発する。 |
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おまけ・スイス土産の種から…… |
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ここで挙げたものは日本でも珍しくない……というより、スイスで売られているような野菜で、現在の日本で手に入らないものはほとんどなくなってしまったが、それでもお土産に買った種が発芽・成長するのを見る楽しみはひとしお。食べればなお楽しい。日本で売られている西洋野菜やハーブは、日本の高温多湿の気候向けに品種改良されていて、味や香りが変わってしまっているものが多いのだが、現地の品種なら、それこそばっちりスイス味が再現可能。
ここで紹介するのは、筆者が個人的に気に入り、なおかつ一応形になった野菜。実は他にもいくつか試してみたのだが、うまく成長しなかったり、特にサラダ野菜はアクが強すぎて食べられなかったりと、筆者の栽培技術レベルでは困難が多い。また、上手に出来ても日本の食生活に全然合わないこともある。難しい…… |
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マンゴルト Mangold
ホウレンソウの仲間。かなり大株になる。グラウビュンデン州の郷土料理「カプンス」に欠かせないほか、白菜のように肥厚する葉柄をグラタンなどにして食べると美味。日本で最近「スイスチャード」と言って売っているものは同じ種類の野菜(茎の太さがずいぶん違うが)。
日本での作り方はホウレンソウと全く同じ……だが、我が家ではもっぱら野鳥の餌食になるばかりで、滅多に人間の口に入らない。他の野菜には見向きもせず、これだけに寄ってたかってついばんでいるところを見ると、鳥の口にもよほど美味いと見える。
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ヌスリ Nu¨ssli
スイスの秋〜冬のサラダの代表選手。スイス弁でヌスリ(ナッツちゃん)と言う名前の通り、ちょっとくるみのような風味が特徴。
日本ではマーシュとかコーンサラダという高級野菜だが、実はハコベの仲間。雑草のようなもので、誰でも簡単に栽培できるおすすめ野菜。寒冷地・暖地とも8〜9月に種を蒔く。一度栽培すれば、こぼれ種で毎年食べられる。
ドイツのおとぎばなし「ラプンツェル」のラプンツェルとはこれのこと。
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フェンヒェル Fenchel
いわゆるフェンネル。野太く育つ葉柄は肉の煮込み料理に欠かせないほか、キャベツのように千切りにしてサラダにすると美味。同じく千切りをさっと炒めて酸っぱく味付けし、料理の付け合わせにすることも多い。生で食べる場合は葉っぱの部分が混入しないように注意。のど越しがチクチクするのだ。
本州以南だったら8〜9月に蒔くとうまく行く。翌年5月頃収穫。多年草だが連作障害が出やすく、2年目以降は大きな株にならなかったり、立ち枯れが出たりする。
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ルッコラ Ruccola
最近は日本でもすっかりメジャーになったゴマ風味の菜っ葉。あちら風にサラダにしても良いが、日本風におひたしにしても美味。
スイスで種を買うと、とにかく安価。一袋に冗談のように沢山入っているので、じゃんじゃん蒔いてベビーリーフのうちに食べよう。5年くらいは発芽率が落ちないので、家庭菜園なら一度買えばずいぶん保つ。
写真のように花が咲いて葉っぱに辛みが出てきたら、細かく刻んでスパイス的に使うと重宝。
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