アンデールには筆者おすすめのチーズ屋がある。場所はポスト(郵便局)のすぐ近く。そこを尋ねてみよう。
店のドアを開けて挨拶しながら入ると、中は小さいが明るく清潔だ。何種類ものうまそうなチーズが入ったガラスケースの向こうで、ベレー帽をかぶった、小じゃれたおじさんが店を切り盛りしている。左側突き当たりの壁の棚には、様々な種類のヨーグルト。ツワツィク(プルーン)入り、桃入り、あんず、ブルーベリー、いちご、木いちご、etc...。ナッツ入りなんていうのもある。プレーンヨーグルトには柔らかいものと固いものがある(この違いを尋ねるのを忘れてしまった。乳酸菌が違うのだろうか)。更に牛乳、バターなど、ありとあらゆる乳製品。あと、大きなビンに入った、半透明の謎の飲料。これは何?
おじさん:ああ、それはモルケ(乳清)。フルーツ味をつけたものもあるよ。健康にいいんだ
私:おいしい?
おじさん:これ?ふふふっ(あまり美味しくないな)
私:ところで、ずいぶんいろいろなチーズがありますね。みんなここの村でできたんですか?
おじさん:全部というわけではないね。(大きな鏡餅を割ったようなチーズを指さし)これと、これとこれ、それにこれがアンデールのチーズだよ。僕のおすすめは、この「アンデール・グルメ」だな。ハードチーズだけど、良いチョコレートみたいなもんで、滑らかでクリーミー。とっても美味しいよ。こっちのベルクケーゼ(山のチーズの意)もおすすめだ。あとのこれはフランスのチーズ、こっちはイタリアね。この瓶詰めでオリーブオイルに漬けたのも、イタリア。
私:この、ディルの葉を添えてある、白い柔らかそうなチーズは?
おじさん:それは新鮮なヤギのチーズ。それもこの村のだよ
そんな話をしていると店のドアが勢いよく開いて、小学生くらいの子供たちが3人、元気に挨拶しながら入ってきた。彼らはヨーグルトの棚から好きなものを取ると、おじさんにお金を払い、ステンレスの小さなスプーンを受け取って、その場でおしゃべりしながらヨーグルトを食べ始めた。子供たちとおじさんの顔は幸せいっぱいだった。
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