アンデール村は、盆地状になっているシャムス谷の一番奥の部分にある。この地方の伝統的な、白くぶ厚い漆喰で塗り固められた家の多い村は、遠くから見ると白く輝き、なんとなく他の村よりも明るく見えて旅行者の心をそそる。実際村の中に入ってみると、のんびりとして明るく、決して期待は裏切られない。交通量の多い道路が村の外を通っており、静かなのもよい。まあ、何もないと言えば、何もない所ではあるが…
このへんでは、日本の田舎でもよくあるように、大人も子供も関係なく、通皆りすがりに気軽に挨拶する習慣がある。同じスイスの田舎でも、ベルナーオーバーラントあたりではこういうことはあまりない。長く滞在すればすっかり顔なじみになり、トゥージスやクールの街で偶然村の人と出会い、お互いに手を振り合う、なんてことも。
村の唯一(失礼)の観光的目玉は、なんといっても村の入り口にあるハイルバート、つまりクアハウス。水着着用(レンタルあり)で25mの室内温泉プールと露天の温泉プールがあり、露天の一部はジャグジーと打たせ湯になっている。この露天温泉プールはなかなか良い。ハイルバートの受付はそのまま村のツーリストインフォメーションになっており、ここで源泉の湯を飲むこともできる(無料)。40度に満たないぬるい湯は、飲むとかなり金気臭い味がする。
商店は少ないが、小さいスーパー、しゃれたチーズ屋(おすすめ!)や雑貨屋などもあり、買い物には日頃それほどは困らない。どうしても、というときはトゥージスかクールの街に出ればよいだろう。
ヒンターラインに沿った一帯は、他にもいくつかの村がある。中でもアンデールからバスでもう20分程奥にあるシュプリューゲン Spluegen は、リゾート地、あるいは伝統的な家並みを残す村として知られている。ただし、アンデール以外の多くの村は、ドイツとイタリアを結ぶアルプス越えのアウトバーンに直接面しており、終日ものすごいトラックの騒音に悩まされる。特にスフェールスからシュプリューゲン、ヒンターラインにかけての一帯は、よほど慎重に宿を選ばないと大失敗するので注意しよう。
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