日本のガイドブックでは全く触れられていない、スイス最高の穴場のひとつ、と筆者が固く信じているのが、このアベッグ財団美術館 Abeggstiftung 。もとはマルガレート&ヴェルナー・アベッグ夫妻の個人的な美術コレクションだったが、1960年代に美術館として一般に公開されるようになった。ちなみにここには、美術館のほかに古美術品修復の学校やライブラリーなども併設されている。
コレクションは古代オリエントの文物から近代の絵画まで、一口に言い表すのがちょっと難しいほど多岐に渡っているが、中でも特筆すべきなのが「布」のコレクション。
かの法隆寺の「獅子狩文錦」と同時代・同系列にあたるペルシャの錦、絨毯、中世ヨーロッパのタピストリー、物語が綴られていたらしい緞子の細片、衣装、etc...。これらの布の展示は、劣化が進まないように短い周期で入れ替えていくので、好きな人はより多くのものを見るために、時間を置いて何回も訪れる。また、劣化したり破損した状態で収集された古裂の復元過程も知ることができる。これもまた、なかなか興味深い。
ところでこのアベッグ財団美術館、公共交通機関を乗り継いで行くには少々ややこしい所にある。だからガイドブックには載らないのだろうが、ベルンからそれほど遠くはないし、グリンデルワルトやウェンゲンなど、ベルナーオーバーラントからだったら、トゥーン経由で簡単に行ける。連日の登山で少々歩き疲れた時などに、ぜひおすすめしたい。また、美術館周辺は小高い丘と谷が連なり、趣のある農家、礼拝堂なども点在する典型的なミッテルラントの農村風景で、天気が良ければアルプスの眺めが素晴らしい。これまたミニハイキング向け。
開館しているのは基本的に春〜秋の半年間、午後14時から17時30分まで。休館日など詳しくはアベッグ財団ホームページで
おまけ:小耳に挟んだのですが、最近ベルプにいい個人美術館ができたorできるという噂は本当でしょうか?御存知の方、教えて下さい
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