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アーレ河畔ウォーキング ランク★
ムーリ(標高560m、以下略)〜渡し舟乗り場〜ティーアガルテン(動物園)〜スイス国会議事堂下〜ベルン旧市街
地図:
コース概況:
 所要時間の目安は1時間。

 路面電車試乗と、ちょっと上高地の梓川畔を思いだすような、アーレ川沿いの快適なウォーキングを組みあわせた、2時間程度のエクスカーション。

 一番いいのは何といっても夏の夕方。ベルン市内に宿泊したら、ぜひお試しあれ。夕方5時前に出発すれば、ゆっくりしても暗くなる前の8時頃には市内に戻れる。もう少し早く出られるなら、途中の川沿いのレストランで、夕涼みのベルン市民たちに混じってビールの一杯でもどうぞ。最高ですぞ!

   
 ベルン旧市街の時計塔のすぐ近く、カジノ Casino の前からラインG・ヴォルプ Worb 行き(ギュムリゲン Guemligen 行きでも可)の、ブルーの路面電車に乗る。この線はいわゆる市電ではなく私鉄で、乗り場が他の線と少し違う場所にあるので違注意。スイスパス利用可。

 カジノ前の停車場を出てすぐに渡るキルヒェンフェルト橋からの、ベルン旧市街の眺めはなかなかのもの。博物館のあるヘルヴェティア広場を過ぎると、きらびやかな各国の大使館が立ち並ぶ高級住宅地や、国連機関のひとつ、万国郵便連合の前を通り抜け、やがて乗車時間10分ほどで、郊外の住宅地・ムーリ Muri に到着、ここで下車する。このあたりは東京にたとえれば田園調布のような所で、いわゆる高級住宅地だそうな。

 ムーリの停車場からは、今まで乗ってきた路面電車の進行方向に向かって、右に直角に切り込んで行くような道を入っていく(どれでも適当な道でよい)。目印のようなものはあまりないが、付近のしゃれた住宅でも眺めながら歩けば、よほどの方向音痴でない限り10分ほどでアーレ川に出られる。途中にハイカー用の黄色い標識があったら Aare の方角に向かえばよい。
念のため地図はこちら

 ベルン郊外もこの辺りまで来ると、周囲は広々とした畑や森の広がる田園地帯になり、牛が放牧されているのも見られる。天気がよければ、前方にアイガー・メンヒ・ユングフラウのベルナーオーバーラント三山が、思いがけず近くに見えるだろう。畑や点在する住宅の向こうに、帯状の森が続いているのが見えたら、それがこれから歩く、アーレの流れる谷。

 谷は周囲にくらべて標高が40〜50mくらい低くなっており、上の住宅地から谷底に降りていく散歩道がいくつも通っている。道によってはここが急傾斜になっていて、時には泥で滑り転んだりすることもあるので注意。川に沿ったウォーキングコースにぶつかったら、川の流れ下る方角(右)に向けて歩き出そう。

 明るい河床林に設けられたこのコースは、ベルン市民の良い散策路になっており、ジョギングを楽しむ人や、夏であれば水着姿で(時には裸で)水浴を楽しむ人、バーベキューを楽しむ人などもいる。梓川を思わせるような色の水に手を浸せば「これで泳ぐのか!」と思うほど冷たく、驚くだろう。また、犬を連れて歩く人たちも一日中絶えない。ちなみに、散歩に連れられた犬はたいてい、引き綱をつけずに好き勝手に歩いており、犬の苦手な人はゾッとするかもしれないが、きちんと躾けられており、人を噛むようなことはないので、シェパードのような大型犬でも恐れることはない。

 歩き出して10分程度で、川に面したテラスのある小さなレストランに着く。レストランはほかにもティーアガルテンなどに何軒かあるが、もしも一杯やりたいのなら、落ち着くのは多分ここだろう。隣は渡し舟乗り場。ここで渡し賃を払って対岸に渡ってもよいが、本項ではこのまま右岸(注)を歩き続けよう。話がちょっと飛ぶが、ここの渡し舟の以前の主(残念ながら数年前に亡くなった)の奥様は日本人女性。そんなこともあり、今の主も「こんなところに日本人!?」なんて驚いた顔は絶対しない。引っ込み思案な日本人はよく「こんな地元民ばかりのところに入っていって大丈夫?」と変に気を遣ったりするが、さすがに首都だけあって、この辺りの人たちは外国人に慣れている。

 渡し舟から20分程度、ティーアガルテン(Tiergarten または Tierpark 動物園)の近くまで来ると、急に周囲の人が増えはじめる。川沿いを歩いているとよくわからないが、この辺から先は、谷から上がるともうそこは、建物がびっしりと立ち並んだ市街地なのだ。とはいえ、川沿いは相変わらず木が生い茂り、6月頃にはリンデンの甘い香りをはじめ、様々な木々の放つ芳香がどこからともなく漂って来る。とてもここがそんな街中とは思えない。

 家族連れにまじってティーアガルテンのイノシシやカモシカを見物しつつ側を通り過ぎ、川がやや大きく右に迂回すると、上空を大きな橋が横切っているのが見え、その向こうにはもう旧市街が見える。旧市街の下までやって来ると低い橋 Dalmazibruecke ダルマツィ橋)があるので、渡って左岸に出よう。あとは国会議事堂の下の急坂を登って旧市街に出てもよし、クマの像のある堰や、川に沿って建つ古い家並み Matten マッテン地区)を見物して、クマ公園の方から旧市街に出てもよし、思い思いにするといいだろう。

 なお、ここで紹介した川沿いの遊歩道は、ベルン旧市街からトゥーン Thun までずっと続いており、もちろん全行程歩いて行くこともできる(約20km、5時間。トイレ休憩向けのレストラン多し)。

(注)右岸・左岸:
源流を背にして、つまり川が流れ下る方に向かって右が右岸、左が左岸

ムーリの停車場付近からの風景。首都の中心からわずか10分ほどで、広々とした畑や牧草地が広がる地域にやって来る。6月中旬〜下旬頃は、道端に真っ赤なひなげしの花が咲き乱れ、素晴らしい。
写真は早朝(mk)

アーレ川の谷。川に沿って平行に伸びる道を歩いていく。踏み固められた砂の道で、非常に歩きやすい。写真のすてきな堤防は、このページで紹介しているコースより若干トゥーン寄りに歩く

   

写真のように川面が乳青色に見える日は、非常に水が冷たい。雨などで上流の氷河が溶け、鉱物質の沈殿物が多い、冷たい水が入って来るからだ

   

このコースは途中いくつもの枝道が出ているので、適当に気に入った道に入ってみるのも楽しい

   

最後は国会議事堂の下に出てくる