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小さな村 小さな町 ティチーノ、その他
ベリンツォーナ Bellinzona
標高230m

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(星3つが満点)
滞在向け度
観光向け度 ★★★★★
交通便利度 ★★★
アクセス
最寄り駅:ベリンツォーナ駅

こんな所
 ティチーノ州の州都で、はっきり言って全然小さな町ではない。しかし、面白い町なのにどうも近所の大リゾート地、ロカルノやルガーノに押されて影が薄い、というわけでここで取り上げてみた。

 アルプスを南北に貫くゴッタルド線の列車に乗り、ティチーノ川の谷を南下していくと、やがて堅固そうな城山を中心部に抱く大きな町が見えてくる。そこが城塞都市・ベリンツォーナだ。

 ゴッタルド、サン・ベルナルディーノなどアルプス越えの主要な街道が幾つも集まるこの町は、単なる交通・流通の要衝としてだけでなく、イタリアの北の表玄関として非常に重要視されてきた。実際に訪れてみるとわかるが、この町は中央の城山・カステルグランデ Castelgrande のほか、郊外や谷に面した山の斜面にも守りの砦が点々と続き、この土地の性格を見事に表現している(城はいずれも夜になるとライトアップされて美しい)。ちなみにこれらの城塞群は、近年ユネスコの世界遺産として登録された……と聞けば、見応えがある程度想像できるだろう。

 城から一転、庶民の町に目をやれば、アルプスの北側との富の蓄積の違いを明らかに感じさせる建物も多い(そういえばここはルネサンス期にはミラノ公国領だった)。また、昔の城壁の一部が建物の間に埋もれるようにして、ときおり意外な所から顔を見せたりするのも面白い。輝かしいリゾートもいいが、こんな味のある町をぜひ散策してみてはいかがだろうか。


その他
 駅前から城に向かうエリアには大きな建物が立ち並んでいるが、その近辺は近世以降にできた街区である。何も知らないと新市街と城だけ見ておしまいにしてしまうことになるので注意しよう。肝心の旧市街は、駅前大通りを左に向かって10分ほど歩いたあたりから始まり、城の南東〜南側一帯によく姿をとどめている。

 ところで!この町のカフェやレストランで「ビール(ビッラ)を」と頼むと、なぜかサイダー味の不思議な飲み物が出てくる。外観は100%ビールそのものなのだが……。この謎のアルコール飲料の正体をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひお教え下さい。

 ちなみに筆者、滞在中の数日間に渡って苦悩した揚げ句、あてずっぽうに適当な銘柄を頼んだら、やっとビール味のビールに巡り会え……と思いきや、なんとこれがノンアルコールビール(T_T)。やはりここではワインを頼むのが無難な選択なのだろうか。ティチーノ産のメルローは飲ん兵衛好みでおすすめ。

※謎の飲料の正体
〜Nagata様よりご提供(2004年5月6日)
それは、パナッシェってやつではないですか?ビールにスプライトを混ぜたものです。スイス人の友達が良く飲んでました。

→→(筆者より)ありがとうございます。味から考えて多分ソレではないかと思います。これで謎が解けました……
しかしイタリア語で「ビッラ」はビールの事ではなかったっけ??なぜベリンツォーナではビッラ=パナッシェになってしまうのか?
その辺の微妙な事情を御存知の方がいらっしゃいましたら、引き続きお便りお待ちしています。

〜H.様よりご提供(2005年6月16日)
イタリア語でビッラはスイスのジュース・リベッラに似てると思います。茶色い飲み物で、甘い炭酸飲料です。私の日本人の友人にもリベッラ(Rivella)が発音出来なくてお店で頼むのに大変苦労していましたよ・・。もしかしたら??

→→(筆者より)またまた情報ご提供ありがとうございます。筆者の周囲からもその説が出ていましたが、アイヒェンなんとかというメーカーの瓶ごと出てきたので、リベッラの可能性はなさそうです。


実は!このコーナーの存在を忘れていたので追記しなかったのですが、地元からはこんな説も出ていました

〜スイス人・Armin君の発言(2004年夏)
「ティチーノじゃビールもパナシェも一緒くただ。だいたいあそこはビール文化圏じゃない」

地元からのこの発言はなんとなく確度が高そうですが、本当かいな。どなたか試された方のご報告を引き続きお待ちいたしております
おたよりはこちら
(アドレス内のDUMMYという文字を抜いてyahoo.co.jpと入れて下さい)

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Bellinzona
Bellinzona
Castel di Sasso corbaro (oben),
Castel di Montebello
Bellinzona
Castelgrande
スイス スイス
ティラーノ Tirano
(イタリア・ロンバルディア州)標高430m

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(星3つが満点)
滞在向け度
観光向け度 ★★★★
交通便利度 ★★
アクセス
ポントレジナ/サン・モリッツからレーティシュ鉄道ベルニナ線で約2時間半。
ミラノから鉄道で約2時間半(乗り換えなしの直通列車もある)
参考:氷河特急のつづき〜サン・モリッツからミラノへ

こんな所
 標高1700メートルのサン・モリッツから、スイスでも最高の絶景を誇る列車のひとつ・ベルニナ鉄道で2時間半、アルプスの谷を一気に下って到着するのがこの町、ティラーノ。暖かい風が谷を吹き上げ、陽光の下で石垣に絡みつくバラやぶどうの鮮やかな色あいが気分をホッとさせる。岩と氷に飽きたころに、ちょっと山を降りて遊びに行くか、なんていう時になかなか良いところだ。

 ここはスイス方面から見れば、イタリアの玄関口。反対にイタリアから見れば、スイスやチロル地方への玄関口になる。列車や車で双方を行き来する旅行者たちにとって、ちょっとひと息入れて散策するのにも格好の地点。そんなわけで、毎日お昼前後になると、食事と休憩を兼ねた各国の観光客たちで思いのほか町は賑わう。商店の店先などもよく観察してみると、ボルミオ名産の薬草酒があったかと思うと、別の店ではエンガディーナトルテが飾ってあったりして、典型的な「ドライブイン町」のようだが、騒がしいのは駅の近辺だけなのでご安心を。

 町のみどころはなんと言っても旧市街部分だが、駅から離れていて少々場所がわかりにくい。最初に駅前にあるツーリストインフォメーションで、おすすめコースがプロットされた「町歩きマップ」をもらってから行こう。


その他
 鉄道オタクの人必見の、ベルニナ急行が「市電」みたいに通り抜ける写真撮影スポットは、巡礼教会として町のシンボルのような存在になっている教会、マドンナ・ディ・ティラーノ Madonna di Tirano の前。優美なルネサンス式のこの教会とは対照的に、一種異様なランドスケープを演出するダダッ広い直線道路 Viale Italia(イタリア大通り)の突き当たりで、場所はわかりやすい。

しかしこの大通り、日陰も何もなくてスイスの山上から来た人間には死ぬほど暑い!その上教会は駅を中心にすると旧市街の反対側になり、見た目より結構距離がある。あれこれ見たい!というタイプの人には、結構悩める名所なのである。
(写真提供/花崎町中高年鉄道同好会 右隅にかろうじて列車が写っている)

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Tirano
Bellinzona
Tirano
Bellinzona
Tirano
スイス
クールマイユール Courmayeur
(イタリア・ピエモンテ州)標高1230m

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(星3つが満点)
滞在向け度 ★★★
観光向け度 ★★★★★
交通便利度
アクセス
シャモニ(フランス)からモンブラントンネル経由のバスで45分
アオスタ(イタリア)からのバスもある。所要約1時間

こんな所
 モンブランのイタリア側山麓、アオスタ谷のどん詰まりにある超有名リゾート地……なのだが、実際に訪れてみると石造りの家並みが美しい鄙びた山村。日本人にとってモンブラン地域のトレッキング/ハイキングといえば、やはりシャモニが一般的だが、このクールマイユール一帯は山容もフランス側とは全く異なり、アルプスの南側独特の侵食の著しい切り立った断崖に、黒々とした森林が目に鮮やか。シャモニ側に較べるとアプローチの不便なトレッキングコースが多いことは否めないが、やっぱり訪れる価値はある。

 冬には一大スキーリゾートになるクールマイユールだが、夏は意外にゴタゴタしておらず、落ち着いて過ごすことができる。しかも、商店など滞在に必要なものはバッチリ揃っていて不自由しない。ここを基地にあちこち歩いてみてはいかがだろうか。


その他
 イタリアなのに「クールマイユール」というフランス語の響きを不思議に思う人もいるだろう。元来このアオスタ谷を含むピエモンテ地方は、フランスのスイスに接する地域を領有していたサヴォア王家の持ち物で、フランス語が幅広く使用されていたためだ。その後も、初代統一イタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世がサヴォア=サルディニア王家出身だった関係もあり、この地域ではフランス語の使用が許されたそうだ。現在でも地名標識などは2カ国語併記になっていることが多い。ただし現在実際に話されている言葉はほぼ100%イタリア語。

 ちなみに同じイタリア国内の少数派言語として、ボルツァーノ(ボーツェン)を中心とする南チロル地域のドイツ語があるが、こちらは使用を禁止された時期もあったりと、かなり冷遇されている。これは19世紀に独立・統一を果たす前のイタリアが、大部分をオーストリアによって支配されていたことと無関係ではない。現在でも南チロルでは、イタリアからの分離をめざす動きが根強く存在する。

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Bellinzona
courmayeur
Bellinzona
スイス
リヒテンシュタイン侯国 Liechtenstein
標高455m(首都・ファドゥーツ)

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(星3つが満点)
滞在向け度 ★★(期待値)
観光向け度 ★★
交通便利度
アクセス
最寄り駅:サルガンス駅
駅からシャトルバスで15〜20分くらい。

こんな所
 「アルプスの山あいの小さな君主国」なんとなくロマンチックなイメージが先行するリヒテンシュタインだが、正直言って観光で訪れるには面白くもなんともない、というのが筆者の個人的な感想。先に結論を言ってしまうと、わざわざ時間を割いて行くところとも思えない。ただ、有名なリヒテンシュタイン侯爵の美術コレクション※注は手堅い感じのものが揃い、小さい割になかなか見ごたえがあって良かった。展示品は定期的に入れ替わるので、時によって当たりハズレがあるかもしれないが、絵の好きな人だけに関して言えば、あえてここを訪れる意味はある。だから「観光向け度」にとつ。

 ……あまりパッとしないことを書いてしまったようだが、誤解のないように。リヒテンシュタインは観光地というより典型的な保養地タイプで、そもそも長期滞在のためにあるようなところだ。旅行者が生活できるようなありとあらゆるものも揃っているし、近辺にはちょっとした見どころも多い(たとえば『ハイジ』の舞台のマイエンフェルトも近い)。ここをベースキャンプにしてあちこちハイキングに出かけたりするのは良さそうだ。もちろん冬は第一級のスキーリゾートになる。

※注
2004年春、ウィーンにあるリヒテンシュタイン公爵の館がリヒテンシュタイン美術館としてオープン、公爵家のコレクションのうち主要なものはそちらに移ることになった。


その他
 リヒテンシュタイン侯爵家と議会(国民)の不仲は有名で、日本の新聞でも何年かに1度くらい、国際面の隅っこの方に関連の記事が載ることがある。近年も侯爵から「そんなことなら私が国を出ていく」なんて脅し文句(?)まで飛び出すような事態があり、君主制の終焉も近いのでは?という噂もちらほら。もっとも、観光客にとってはそんな雰囲気は全く感じられないが……
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Bellinzona
Liechtenstein
Bellinzona
スイス
氷河特急のつづき〜サン・モリッツからイタリアへ
 スイスとイタリアを組み合わせて旅行を計画する人はかなり多いと思う。大体の人はまずグリンデルワルトに行ってから次にツェルマットへ行き……と考えるようだが、そこから先を悩んでしまう人も結構いるようだ。

 もしもあなたが氷河特急に興味があるというのなら、話は簡単。ツェルマットから氷河特急でサン・モリッツへ向かおう。そして、サン・モリッツで1泊(本当は3泊くらいして欲しいが)。翌朝、サン・モリッツ9時41分発の「ベルニナ急行」でイタリアへ向かえばよい。ベルニナ急行はスイス/イタリア国境の町・ティラーノが終点。そこでイタリア国鉄の列車に乗り換え、たとえばミラノなら最短で15時30分には到着する。もう少し遅くなっても大丈夫というのなら、ちょっと時間を割いてティラーノの街を見物するのがおすすめ。

ほかにもベネチア、フィレンツェなど北部の主要都市なら、たいていその日の遅くならない時間帯に到着することができる。

 さて、このベルニナ急行、実は氷河特急よりもずっと景色がよく、有名なモルテラッチュ氷河をはじめ、ラーゴ・ビアンコなどの美しい湖、雄大な谷に可愛らしいティラーノの町(最後は「路面電車」状態で街中を走る)と、車窓風景がめまぐるしく変化し、全く飽きることがない。また、鉄道ファンの人にはラントヴァッサー橋よりも必見!なのが、ブルシオ駅を出てすぐのグルグル巻き石橋。険しい山岳地帯に鉄道を通すためならこんなものまで作ってしまう、あっぱれスイス。

 展望車以外は基本的に予約・特別料金不要。ティラーノ方向に向かって右側に座るのがおすすめ。
(列車の時刻は2005年夏。SBBのホームページなどで事前にもう一度ご確認を)

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