なにぶん出展者が多く、大ざっぱに大陸・文化圏別にいくつかのホールに分かれ、更にその中でこれまた大ざっぱに国別に分かれている。
なんと言っても優先度トップはイギリスとアメリカの展示会場。なんのかんの言っても英語圏の出版物の水準は世界一。イギリスの素晴らしい絵本や、工夫を凝らして面白く作られたアメリカの学校教材(英語がわからなくても理解できる、さすが多民族国家!)、世界中の愛好者に向け、工芸的に製本された美術書などを見ていると、本当にため息が出る。
スペイン(……と南米スペイン語圏)も意外に面白い。ここも英語圏と少々事情が似て、南米という複雑な大市場を抱えているためか、多少の言語的境界を乗り越えられるよう、ヴィジュアル面に配慮された本や新聞が多い。また、美術書や中世絵入り写本の復刻版など、工芸性の高い本も面白いものをたくさん出している。
中東やアフリカなど、日本では普段あまり目にすることのできない国の本も興味深い。筆者のおすすめはイランの絵本。さすが!というような繊細な色彩の、美しい本は本当に目の保養になる。
日本を含むアジアもまた、なかなか興味深い。近年躍進著しい中国の出版物には、オリジナリティある面白いものが結構見つかる。アート面での水準の高さを感じさせる韓国も必見。日本の出展を見れば、日本の出版のどのような所に世界が注目しているのかがよくわかる(案外Mangaだけでもない)。
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